このお盆休み、前半は忙しく、後半は子どもの体調不良もあって、ゆっくり過ごせました。
このご時世なので不安がよぎりましたが、微熱程度で、両親に全く症状がないのと、抗体検査で陰性と出て、一安心。
主な症状としては、吐き気、くりかえす嘔吐で、年に1,2回発症することがあり、その都度、胃腸炎なのかな?と思っていましたが、以前も同じタイミングでありました。
同じタイミングというのは、ちょうど3年前も「発表会」の前で、緊張が高まっているとき、いわゆるイベントの前に体調を崩してしまうものでした。
繊細でストレスを感じやすいと言ってしまえばそれまでですが、これまでの努力が披露できず可哀そうで、親としては何とかしてあげたい、対策があるなら何とかしたいものです。
このようなタイミングでくり返し引き起こされる症状は、「反復性嘔吐症」、「周期性嘔吐症」、「アセトン血性嘔吐症」、以前は「自家中毒症」とも呼ばれていたもののようです。
その特徴としては、1)2)
・数日間、繰り返し激しい嘔吐を繰り返す
・間欠期は正常である
・口臭がリンゴの発酵したような臭い(アセトン臭)になることも特徴の一つ
・起こす誘因としては 精神的ストレス(47%), 感染(31%), 疲労(24%)
・全身症状としては 嗜眠(93%), 蒼白(91%), 発熱(30%), 流涎(27%)
・消化器症状としては 吐き気(82%), 腹痛(81%), 食欲不振(81%), 嘔気(79%)
・心理的または身体的な種々のストレスや緊張によって, 脳・消化管相互関連系が過剰に反応する
・2~10歳くらいの子どもに多く見られ、思春期になると自然に治ることが多い
・体の線が細く 繊細な子どもに多くみられ
太字が、娘にも当てはまったことなので、きっとこれなのでしょう。
その中でも「思春期になると自然に治ることが多い」というのは、救いです。
(大人になっても同じような症状が出ることも、まれにあるそうです。)
あと、一番つらそうな「嘔吐」や「吐き気」が、なぜ起こるかが疑問でした。
娘の反応点を見ても、自律神経に影響を与える「内耳」はそれほど悪く無く、「胃・食道」あたりは顕著でしたが、それはくり返しの嘔吐が原因として考えられます。
「内耳」を施術しても、症状はあまり良くなりません。
その理由としては、エネルギー源のブドウ糖が不足し、脂肪を燃焼することによって、この症状が引き起こされるそうです。
通常私たちは、ブドウ糖を燃やして体を動かすエネルギーを使っていますが、この症状が出ているときは、脂肪が主なエネルギー源となります。
その脂肪の分解過程でアセトン(ケトン体)が発生し、それが脳の嘔吐中枢を刺激し、頻回に吐くようになります。
(大人でも厳格な糖質制限で、一次的にそういった症状が出ることもあります。)
この病態が幼少期に多いのは、糖の蓄えが少ない上、代謝が活発で必要なエネルギー量も多いからで、その為、多くは成長とともに落ち着いていくようです。
ストレスで食事量が減っていたり、それにも関わらず活動量が多い時は、要注意です。
だから、大事なイベント前などに、よく発症してしまうのでしょう。
従って、予防法としては、そうなりそうな初期段階で、吐き気止めを服用したり、糖分を補給することで防ぐこともできるそうです。
そうなってしまった時の対処法としては、胃腸炎の時と同じです。
くり返しの嘔吐とこの時期なので、脱水が心配になりますし、本人もノドが乾き水分を欲しますが、水分や食物を急に補給しても、またすぐに吐いてしまいます。
胃腸に負担にならないように、ごく少量づつ、時間をかけて補給していきます。
水は吸収も悪いため、その子にもよると思いますが、飲みやすい糖分を含むイオン飲料や経口補水液を選ばれると良いようです。
うちの子は、ゼリーなども比較的、摂りやすいようでした。
鍼灸治療で出来ることは、対症療法になりますが、頭痛や腹痛などの痛みの緩和や、糖吸収や代謝を助けるために「小腸」「肝臓」などの内臓機能を上げることでしょうか。
ですが、そもそもの原因である「過労」や「食事」を気を付けることが大事に思います。
もうすぐ好発年齢を過ぎるので大丈夫かもしれませんが、注意して見守りたいと思います。
ちなみに、周期性嘔吐症の説明に、
・遺伝的な要因があることも指摘されている
ともありました。
私(院長)も、子どもの頃、イベント前に、よく体調を悪くしていたようです。
今は、そんなことはすっかり無いので(お腹を下すことはありますが…)、娘にも「大きくなったら心配ないからね」と励ましています。
(院)
1)周期性嘔吐症候群 概要 – 小児慢性特定疾病情報センター
2)アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症)< Doctors File