ローラー鍼刺激による睡眠状態の変化

患者さんは鍼灸治療を受けると「良く眠れた」とよく聞きますが、実際にその効果はどうなのでしょうか?
また、睡眠をより良くする効果的な治療ポイント、セルフケア方法などが分かれば、実践してもらいやすくなります。
そこで、反応点治療でよく用いるローラー鍼刺激が、睡眠に与える影響を調べました。

 

睡眠障害に対する鍼灸治療の効果の研究では、睡眠評価の多くが主観的、つまり被験者(患者さん)自身がどう感じたかになります。
患者さんがどう感じるかも大事なのですが、その評価はいい加減なところもあります。
自分のことは分かっているようで、分からないことも多いものです。

患者さんの「良く眠れた!」が、本当にそうなのかを調べる為には、その睡眠状態を客観的に示す必要があります。
その方法として、今回、ウェアラブル装置(Garmin社製, Venu Sq Music)を用いました。

以前から、このスマートウォッチに睡眠モニタリングという機能があることは知っていました。
心拍数、HRV(心拍変動)、呼吸、活動レベルなどのデータをもとに、睡眠を3段階(深い睡眠・浅い睡眠・レム睡眠)に評価します。
自分でも良く眠れたと思った時は良く眠れた評価(深い睡眠時間が長い)で、いまいちだなと思った時はいまいちな評価(浅い睡眠時間が長い)でした。
気がかりなことがあると、よく眠れていない実感と評価も一致していました。

 

患者さんで検証する前に、まずは自分たちで試しました。
介入(施術)は、反応点部位へのローラー鍼刺激です。
患者さんご自身でケアできることを想定して、部位をいくつか絞り、刺激量も一定(5分間)刺激で検証します。

比較するのは、
・内耳点を刺激して寝た群
・鼻反応点を刺激して寝た群
・何もしないで寝た群
で、1週間ずつ記録します。

なぜ内耳点かと言うと、平衡感覚の失調が、自律神経機能を乱すと考えるからです。
めまい発作時は、寝てても頭を動かすと、目が回ります。
平衡失調の程度は大なり小なりありますが、その情報は睡眠障害の一つにもなると考えます。
めまい症と睡眠障害の関係性もいくつか報告されています。1)

次に、内耳点の刺激効果を調べる為には、それと比べる対照が必要です。
今回、その対照群には、何もしない無刺激群と、異なる部位として鼻の刺激群を設定しました。

それぞれの、
・総睡眠時間
・ピッツバーグ睡眠評価票(毎週)
・レム睡眠、浅い眠り、深い眠り(時間数)
・呼吸数(brpm)
・血中酸素(%)
を評価項目として睡眠状態を比較しました。

 

結果は…

まず、就寝時刻と起床時刻をできるだけ一定にしたので、総睡眠時間にほとんど差はありません。
主観的評価(ピッツバーグ睡眠評価票)もほとんど変わらず、呼吸数、血中酸素も一定でした。(個人差はありましたが、同じ人での群間差はほぼありませんでした)

そして睡眠段階として、深い睡眠時間と、浅い睡眠(レム睡眠)時間(分)はこちら。
(平均値 ± SD)

内耳点刺激で、若干の改善が見られましたが、それが偶然で無いかどうかは、もっとデータ数が必要です。

つまり、「内耳点にローラー鍼刺激をすれば良く眠れる!」と言えるかというと、まだ証拠不十分です。
それには、いくつか検証する必要があります。 

 

まず、このスマートウォッチの睡眠評価に、妥当性、信頼性があるか?
正確な睡眠評価を行うならば、脳波を調べる必要があります。
個人で導入するには難しいので、やはり簡易的な計測になりますが、
脳波で調べた場合と比較したい所です。

そして、今回たった二人のデータで、その二人が治療者でもあります。
その効果が、鍼灸の純粋な効果を示しているかは、あやしいところもあります。

その理由の一つに「プラセボ効果」があります。
被験者が良くなると思ってその介入(施術)を受けると、良くなるものです。
不眠症に対する過去の研究でも、実薬と偽薬を比較するとその差がなかった、つまり偽薬でも薬と同じような効果があったという報告もあります。2)
つまり、良く眠れると思えば、よく眠れることもあるということです。
そのプラセボ効果が働かないように、被験者も、試験者も、その介入が分からないようにするのが、二重盲検法です。

ただ、鍼灸の比較試験では、それが難しいとされています。
薬の場合、その薬効成分の入ったものと、入っていないものを、同じように飲むこともできます。
それが、鍼灸の場合、受けたことと、受けていないことを、それぞれに分からないようにすることは、困難です。
偽鍼といって、刺さない鍼を対照群とすることもあります。
が、刺さなくても効果が出ることはあるので、鍼灸の純粋な効果を示すことは難しいのです。

 

そういういくつかの制約や限界はありますが、それでも効果が出ることは、意味のあることだと思っています。
あとは、その鍼灸(反応点治療)単独の効果や再現性を、いかにクリアに示せるかです。

 

(院)

 
1) 許斐 氏元, 鈴木 衞, 小川 恭生, 他. ピッツバーグ睡眠質問票日本版を用いた めまい患者における睡眠障害の検討. Equilibrium Res Vol. 73(6)502~511. 2014.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/73/6/73_502/_pdf

2) Alexander Winkler et al. Effect of Placebo Conditions on Polysomnographic Parameters in Primary Insomnia: A Meta-Analysis. SLEEP, Vol.38, No.6, 2015.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4434559/

 

日本人の睡眠障害とその評価方法

私たちの所属する 反応点治療研究会 では、毎月勉強会があります。
いろんな先生の持ち回りで症例報告や研究発表を行います。
私(院長)の担当は、8月でした。

 

毎年、何をテーマに発表するか悩みますが、今年は「睡眠」にしました。
患者さんの訴えとしても多く、日本人の7割が睡眠に満足していないという報告もあります。
OECD加盟33か国で日本の睡眠時間が断トツのワースト1位であることはご存じの方も多いと思います。
その睡眠障害による経済損失は15兆円(GDP比で約3%)にものぼる「不眠大国」として、世界でも認識されています。1)

また、睡眠障害は様々な疾病につながることも指摘されています。
うつ病などの精神的疾患から、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスク要因になることも言われています。2) 

その睡眠障害は認識しにくいものですが、最近の国内の研究では、熱帯夜による睡眠障害が、熱中症の健康被害に匹敵するという報告もありました。3)

 

そんな睡眠障害に対する、鍼灸治療の研究も数多くありますが、その評価は主観的な指標であるものがほとんどです。
今年の全日本鍼灸学会の一般演題でも、3題程見かけましたが、その評価方法も被験者自身が眠りを評価する「ピッツバーグ睡眠評価票」でした。

 

客観的な指標としては、医療機関で脳波を調べる検査がありますが、普段の睡眠状態とは大きくかけ離れてしまうことも指摘されています。
自宅で簡単に脳波を調べるサービスもありますが、それなりに費用もするので、個人で継続して試すにはハードルが高いものです。4)

 

そんな背景に対して、現在、個人で睡眠状態を測定できるウェアラブル装置、いわゆるスマートウォッチなどが登場しています。
ウェアラブル端末は若年層に受け入れやすく、睡眠習慣への関心を高めるツールとして有効であるという報告もあります。5)

 

私も1年ほど前から装着していて、自分の感じる睡眠状態(主観)と、スマートウォッチが測定する睡眠状態(客観)は、一致しているようにも感じます。
そして実際、その測定された睡眠状態を見て、良い睡眠を取るように心掛けることもありました。

 

これらを踏まえて、今回、ウェアラブル装置を用いた睡眠評価の妥当性を検討するとともに、私たちの反応点治療が、睡眠状態にどのように影響を及ぼすのかを調べてみました。

 
(続く)

 

1) よく眠る会社が勝つ 睡眠はもう個人だけの問題ではない
https://forbesjapan.com/articles/detail/51406

2) 駒田陽子, 井上雄一. 睡眠障害の社会生活に及ぼす影響. 心身医学. 47: 785-791. 2007.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/47/9/47_KJ00004675970/_pdf

3) Tomohiko Ihara, et al. Lossofdisability-adjustedlifeyearsduetosleepdisturbancecausedbyclimate change. Sleep and Biological Rhythms volume 21, pages69–84. 2023.
https://link.springer.com/article/10.1007/s41105-022-00419-z

4) 株式会社S’UIMIN 睡眠計測サービス「InSomnograf(インソムノグラフ)」
https://www.suimin.co.jp/

5) 葦原摩耶子, 飯田葉月. ウェアラブル端末を用いた睡眠習慣変容プログラムの試み. ジュニアスポーツ教育学科紀要. 6: 1-8. 2018.
https://kobe-shinwa.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=2667&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

 

ピロリ菌の除菌治療

日本人に最も多い死因の「悪性腫瘍」(がん)。
その中にも、ある程度、予防できるものがあります。
いわゆる感染症で、その原因ウイルスが判明しているものです。

子宮頸がん ー ヒトパピローマウイルス(HPV)
肝臓がん ー 肝炎ウイルス
胃がん ー ピロリ菌

ワクチンで防げるもの、感染を防ぐことが出来るもの、除菌して予防できるものがあります。
その除菌できる一つが、ピロリ菌です。

前回、人間ドックで、私の胃にはピロリ菌が存在することが判明しました。
それが原因かもしれない?、鉄欠乏性貧血もありました。
ちょうど授業も無く、お盆休みも重なり、治療期間に最適だったので、すぐに消化器内科を受診しました。
診察の結果、痔、貧血、そしてピロリ菌除菌を、同時にしていくことになりました。

 

ボノサップパック

 

ピロリ菌治療に5錠、貧血に2錠、痔に2錠、計9錠も1回で服用することに。
過去にこれほどの量の薬を飲んだことはなかったです。
食後に薬を飲むのが苦痛になり、患者さんの気持ちも察します。

ピロリ菌の除菌治療は、何人かの患者さんからその大変さを聞いていました。
菌を殺すためには、抗生物質を服用します。
その効きを良くするため、胃酸の分泌も抑えます。
そしてピロリ菌だけが駆除されれば良いですが、良い菌も犠牲になるのでしょう。
腸の環境や動きが乱されます。

私も薬の飲み始めは、副作用がしんどかったです。
お腹がずっと張って、腰痛、腹痛にもなるし、食欲も減りました。
仕事中も、お腹がゴロゴロ鳴っていました。
ずっと住み着いていたピロリ菌が、悲鳴をあげて必死に抵抗しているようでした…

振り返ってみると、ガスが溜まって腹壁を緊張させるのが、苦しかったように感じます。
こまめにガス(おなら)を出せると良いのかもしれません。
(と気づいたのは3日目くらいでした…)
あとは、腹筋を緩める鍼灸治療もお勧めです。
 

そんなピロリ菌除菌薬の服用期間は、5日間。
この薬による除菌成功率は、8~9割くらいに達します。
つまり、1~2割は除菌できず、また改めての治療になるようです…

 

治療の結果は、服薬終了後、1か月以上経過してから再検査です。
除菌されていることを心から願います。
鍼灸で出来るケアも続けます。

 

9月以降、経過はまたご報告します!

 

(院)

 

貧血の原因は?

前回、人間ドックの結果待ちの時に、貧血が判明しました。
1か月後に送られてきたその人間ドックの結果を見てみると…

 

まず、献血の1週間前の採血だったので、やはり貧血でした。
そして献血時には不明だった、その原因も鉄欠乏性貧血だろうと。
血清鉄(血液中の鉄分)がかなり低かったです。

 

ただ前回も書きましたが、決して、食生活が悪くて鉄分摂取不足だとは思えません。
独身の時より、格段に良くなっていると感じます。
では、その原因は?

 

貧血で考えなければいけないのは「どこかで出血が起こっていないか」です。
鉄剤の補給で貧血が改善されたとしても、出血があれば根本的な解決にはなりません。
自覚できる出血はその改善ですが、自覚できないものとしては、内臓、消化管からの出血を疑います。
私は、自覚できる痔核があるので、その原因は一つ上げられます。
ただ、それ程の出血ではなく、今回の便検査でも出血は認められず、他の消化管からの出血の可能性も低くなります。
その原因として何があげられるでしょうか?

 

実は、今回の人間ドックの目的の一つに、ピロリ菌(H. pylori)の検査がありました。
私の母は胃がんで亡くなっています。
現在、胃がん最大の原因は、ピロリ菌ということが分かっています。
ピロリ菌の感染は、衛生環境の悪い水や食事、そして親から子への口移しなどで感染すると考えられています。
私も、感染している可能性は高いと考えられます。
(ちなみに、ピロリ菌の主な感染時期は乳幼児期でそれ以後の感染は少ない。1)
 つまり、夫婦間、大人同士の感染は無いようです。
 幼少期が同じ環境であった兄弟姉妹に感染者がいると要注意です。)

 

今回のピロリ菌の検査結果は…
「要医療」でした。
今回血液検査でピロリ菌抗体を調べたところ、疑いようもない位、高値でした。

さらに胃バリウム検査の結果も、聞きなれない「粗大レリーフ」という言葉が…
普通より太いシワのことのようで「慢性炎症など胃の病気も考えられ、自覚症状があれば要検査」とのことですが、もはや自覚症状はあてになりません…

 

そして、このピロリ菌が、貧血の原因にもなるそうです。
鉄分の「摂取」不足でなければ、「吸収」不足です。
食物中の鉄が、効率よく吸収されるためには胃酸とアスコルビン酸(ビタミンC)が重要ですが、ピロリ菌感染した胃粘膜ではそれが少ないこと。
また、ピロリ菌の感染者では、胃粘膜でのラクトフェリンの量が増加しており、ラクトフェリン内の鉄を供給源として増殖するため鉄欠乏になりやすいこと。
などが挙げられます。
「いくつかのメタ解析では、ピロリ菌感染が鉄欠乏性貧血のリスクであること、鉄剤投与に加えて除菌治療をおこなうと有意に鉄欠乏性貧血が改善することが報告されている」と、日本ヘリコバクター学会の治療ガイドラインにも記載されています。1)

 

ピロリ菌感染の可能性も薄々気づいていながら、なぜ今まで検査しなかったのか?
なぜこの検査がもっと一般的でないのか?
人によってそのリスクは異なるので、その人にあった検診は必要なのでしょう。
(日本ヘリコバクター学会では、中学生以降の検査、除菌が推奨されています。1)

今や胃がんの予防に、ピロリ菌の除菌は強く推奨されています。
正しい知識や情報を得ることは必要です。
自覚症状が無ければ…と思っていても(私もそうでした)、それはあてになりません。
自覚症状が出たときは、もう手遅れのときもあるかもしれません。

 

悔やんでもしょうがないので、これから対策です。
早速、ピロリ菌の除菌治療を始めました。

 
(また続く)

 

1) H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版
https://www.jshr.jp/medical/guideline/index.html#sup2016

人間ドック と 貧血

会社員の頃は毎年健康診断がありましたが、自営業になると自ら受けに行かねばその機会はありません。
しばらく未検診でしたが、40歳を過ぎると市の特定検診が始まり、そちらを受けるようになりました。
ただ、それも身体測定や尿検査、血液検査は献血していると分かるような項目ばかりで、不要かなと思ってました。

 

特に自覚症状は無かったのですが、気になっていることもあったので…
今年は、健康チェック(3時間人間ドック)を受けてみました。

芦屋市 健康チェック(3時間人間ドック)
https://www.city.ashiya.lg.jp/kenkou/kenkoucheku.html

 

検査はスムーズに進み、その場で分かる血圧や身体測定、診察では、問題なし。
詳細な結果は、1か月後に送られてくることに。

 

その結果待ちの期間に、最近リニューアルした三宮の献血センターに行きました。
いつも通り、体調良好の欄にチェックも入れて、事前の検査をしたところ…

「今日は貧血で献血できません」とのこと。

ヘモグロビン濃度が基準値以下でした。
「鉄分ゼリー」と「献血にご協力いただけなかった方々へ」という冊子を渡されます。

 

学生の頃は、多忙と栄養不良もあって、同じく貧血で献血を断られることもありました。
が、今や健康であることが売りの鍼灸師となってからは、ショックです…
いたって健康だと思っていましたが、自覚症状もあてになりません。

 

貧血の原因は、最近も忙しかったし、鉄分が足りていなかったのかなと。
ただ同じ食生活の妻が貧血ではないということは?

 

そして今月始め、人間ドックの結果が送られてきました。
その結果は…

(続く)

鍼灸学会とセミナーに参加してきました

ご無沙汰しております。
しばらく投稿をサボっていたら、1年も折り返しに…
下半期はもう少し発信していきます。

 

6月はじめには、全日本鍼灸学会の学術大会がありました。
しばらくコロナ禍で現地参加していませんでしたが、今年は開催地が「神戸」だったので、いくつか発表にも携わりました。
私(院長)も災害ボランティア「はり灸レンジャー」の活動報告を行ないました。
コロナ禍でしばらく訪問活動は出来ていませんが、その分、これまでの活動を振り返りまとめることで、今後来たる災害にも備えています。

わずか7分の発表、5分の質疑応答でしたが、準備に多く時間を費やし、当日の発表もそれなりに緊張して、前の晩はよく眠れなかったりしました。
でも、外に発信することで被災地の状況や活動のことを知って貰い、私たち自身を知ることにもなり、必要なことだと改めて実感しました。
今回は多くの知ってる先生や学生さんが聞きに来てくれてホームのようでありがたかったです。

全日本鍼灸学会@神戸

 

続いて、先週末は、母校の神戸東洋医療学院で、OB会総会とセミナーがありました。
セミナー講師は、日本代表ソフトボールチームトレーナーの村上純一先生。

村上先生は、私が専門学校生の時の「実技」の先生でした。
在学中のスポーツ大会や、中国天津中医薬大学の解剖学実習も、楽しかった思い出です。
そして、卒業後にも同時期に同じ大学院に通っていたという何かとご縁のある先輩でもあります。

『Adjust the twisting ~身体の捻じれを修正することで手にいれるパフォーマンス~』というテーマで、アスリートのトレーニングや調整方法だけでなく、広く臨床でも役に立つ内容でした。
選手の感じる不調は、どこから来ているのか、どこにつながっているのか、鋭い観察力で、広い視点で見ることの難しさを感じました。
お話も面白楽しく、実技も交えられて、あっという間の2時間でした。

東京五輪で女子ソフトボール代表の金メダル獲得のときの様子や裏話も話してもらえました。
トップアスリートとの接し方だったり、施術以外のことも参考になりました。

セミナー中はすっかり聞き入ってしまい、写真を撮ることも忘れていたのですが、最後に同級生と一緒に。
とっさに出たよく分からないポーズでしたが、娘に言わせると「パワ~」(by なかやまきんに君)だそうです。

懇親会には参加できませんでしたが、またゆっくりお話しできる機会を楽しみにしています!

(院長)

経営理念の中身

開業12年目にしてやっと定めた経営理念。

言葉だけ並べてもその思いは伝わりにくいと思うので、補足説明です。

 

ビジョン(Vision)
「鍼灸を通して心と体を健やかにし, 暮らしや仕事を楽しめる人を増やす」

私たちが鍼灸治療で患者さんへ提供したいことは、色々あります。
どんな人に良くなってもらいたいとか、どんな症状を改善してもらいたいとか。
鍼灸治療の目的は人それぞれで、細かいことを上げるとキリがないし、意識できなくなります。
理念はその中でも、優先順位の高い、最も重要な判断基準となるものだと考えています。
それが、上の一文です。

「治療」となると、「病気」を治すことがゴール(目的)と思われるかもしれません。
けど、病気が治れば、それで良しとはならないこともあります。
また、病気を治すことに精一杯で、今ある大事な人生を無駄にするのも残念です。

病気とは、その人が苦痛と感じるか感じないか、困るか困らないか。
体が不自由でも、難病を抱えていても、仕事や日常生活を楽しく過ごされる人はいます。
五体満足で、身体の不調が無くとも、日々の生活が楽しめない人はいます。
その病気や症状がゼロにならなくとも、今やこれからが楽しめたら良いと思います。
日常生活が楽しく送れれば、病気も快方に向かいます。

その為には、肉体的な体だけでなく、精神的な心も、健やかである必要があります。
それらは切り離すものではなく、心身相関、車の両輪となるものです。
鍼灸は、病気ではなく、その人を治療していきます。

私たちは鍼灸師であり、鍼灸治療を教える立場にもあります。
鍼灸治療の可能性を広めていくことで、より多くの人が救われると考えています。

 

ミッション(Mission)
「根拠に基づいた鍼灸治療を実践し, 広める」

鍼灸治療もいろいろです。
同じ鍼灸師でも、あやしいと思う療法も、多々あります。
また、鍼灸と言えば、東洋医学、中医学を連想される人も多いかと思います。

私たちの実践する「反応点治療」は、現代医学に基づいています。
科学的根拠に基づいた医療(EBM)を目指して、より客観性、再現性を持った治療を目指しています。
特定の人にしか出来ない、その時にしか出来ないのでは、その治療法は、科学的ではありません。
どうなるかわからないような施術は、リスクも伴います。

あやしい鍼灸ではなく、確かな鍼灸を実践し、それを広めていきます。

 

バリュー(Value)
・社会貢献を支える

少しまどろっこしい言い方ですが、鍼灸には、社会的影響力の大きい患者さんも多く来られます。
鍼灸に健康管理を求められていたり、自費診療であるが為、経済的に余裕のある方も来られます。
すると、自分たちが多くの人を治療する社会貢献よりも、少なくてもそういった人たちを支えることが社会貢献につながるのではと考えるようになりました。
この立地にあって、私たちのような小さな治療院には、その方が向いていると思います。

多くのスタッフを雇って、規模を大きくしていくのも一つですが、技術を伝えるには多大な労力も必要とします。
それは他の組織として、実現していきたいと思います。

 

・医療者、介護者を支える

影響力のある人を支えるという考えは、上記と同じです。
今回のコロナ禍でも、医療者、介護者の苦労は、誰もが見聞きされたのではないかと思います。
多くの人を救い支えるのは、そういった現場の医療従事者、介護者、さらには研究者です。
そういった人を支えることも、大変意義があることだと思っています。

また、そういった人々にも鍼灸を取り入れて貰う為には、鍼灸が医学的に認められる必要もあります。
そういう意味でも、現代医学が言語の鍼灸治療が、より求められてくるのではと思います。

 

・学び続ける

医学が日進月歩であるように、鍼灸学もそうでなければいけません。
根底に変わらないものもあるかもしれませんが、手段や方法としては変えていく必要はあるでしょう。

昔の人々と暮らしや環境も大きく様変わりしています。
人の暮らしや仕事を支える為には、医学や鍼灸学以外のことも、学んでいく必要があります。

鍼灸は適応範囲も多いので、その分、学ぶことも多大です。
一生学び続ける努力は必要です。

学生に教えることも必要な学びだと思っています。

 

・謙虚である

私たちが接する多くの方が先輩でもあり、足りないと感じることも多く、自ずから謙虚にはなります。
が、私たちが尊敬する多くの方も、謙虚です。
年を重ねると、間違いがあっても、注意されにくくなってきます。
自分で省みられれば良いですが、気付かないこともあります。
謙虚であることで、伝えてくれることもあります。

私たちは患者さんの治療を通して学ぶことも多いです。
謙虚な姿勢を無くしては、大事なことも気づけなくしてしまいます。
「先生」と呼ばれると、ついついその気になってしまうので注意です。

自分の考えや主義主張が、誰にとっても正しいわけではないことも、常に意識しています。

 

・今を大切にする

これは私たち二人に共通する価値観でもあります。
親や友人を早くに亡くしたり、病気で大変な時を過ごしたり、大きな災害を目の当たりにした経験も大きいと思います。
将来の為に今を犠牲にして、将来が来ないこともあります。
老後の為に生きて、老後が訪れないこともあります。

決して、将来どうなってもいいから、今が良ければよいということではありません。
出来る限りの備えや予防は大事だと思っています。
けど、いつ何が起こるか分からない将来の為に、今を疎かにしたくはありません。

私たち自身もそうですし、回りの人たちにもそうであって貰いたいと願います。

 

以上、こういった思いで定められた「治療理念」です。
また変わっていくかもしれませんが、今はこういった考えで治療に携わっています。

 

(院)

経営理念

昨年末、後輩のための集客についての勉強会に参加しました。

その時に、まず「何のために鍼灸院を経営するのか?」が大事で、経営理念を考えようという話になりました。

当院も開業してもう10年以上経ちますが、明確な文章にしたことはありません。
どういう思いで開業したかは、ブログに書いたり、プロフィールなどに載せています。

途中、何度か考えたこともありますが、こういう大事なことって、決めるのに時間がかかります。
忙しくなると後回しになり、今さらもういいやと思っていましたが…
時間をかけて昨年末から考えることにしました。

まずは、経営理念を掲げる必要性、どう考えたら良いかなど、YouTubeも見たりして、いろいろ調べました。
そして、一人で考えるのではなく、従業員、といっても副院長とですが、二人で考えました。
夫婦二人の治療院ですが、それぞれの思いや要望も再確認できて良かったです。

その結果、
ありたい姿や目指す目標として 「ビジョン(Vision)」、
使命や果たす役割として 「ミッション(Mission)」、
具体的な行動指針、価値観として 「バリュー(Value)」、
を考えました。
この内容や捉え方もいろいろ考えはありましたが、一番しっくりきたものにしました。

何となく分かっているつもりでしたが、言葉にすることで、意識するようにもなりました。
絵に描いた餅にならないよう、このホームページにも載せています。

それぞれの内容については、また詳しく説明していきたいと思います。

これまでも、年間や月間の「目標」は考えたりもしてきました。
開業当初から、回りの環境や思いも変わってきました。
また今後も変わることはあるかもしれません。

それでも、今後の残りの人生をどう生きて行くかを大事にしたいと思いました。
人生も折り返し地点が近づき、そんなことを考えるようになっています。

 

(院)

親の介護で学ぶこと

しばらくご無沙汰していましたが、父の介護も現在進行中です。
もうすぐ1年、介護認定の更新もありましたが、要介護3を継続です。

介護状況に大きく変わりはありませんが、少し意欲が感じられるようになりました。
すると、急に外出してみたり、転倒したり、救急車にお世話になったり、色々トラブルも起こります。
それでも、その都度、知恵と工夫で何とか過ごせているようです。

困ったことをどう前向きに考えるかで、介護の捉え方は大きく変わるように思います。
トラブル時はそれどころではないときもありますが、一歩引いた目で見られると良いのかもしれません。
どっぷりつかり過ぎない、良い加減、レスパイトも大事だと思います。
(仕事を辞めて介護に専念なんかも止めた方が良いと思います。)

そんな親の介護を通して、良かったと思うことをあげてみます。


1) 臨機応変になる

上にも書きましたが、困った事が色々起こります。
今まで出来ていたことが出来なくなったりもします。
体調が急変することもありました。
(たいてい夜間や休日だったりします…)

ある程度予測できることもありますが、そうはいかないことも多いものです。
決められたことをこなすだけでは、介護はしんどいものになります。
思い通りにいかないことも多いからです。(育児も同じですね)
それを苦にしない為には、普段から臨機応変な考えを持つ必要がありますね。
少々のトラブルには動じなくなりました。

あと、意外と直感が当たります。
長く見ていると分かることがあります。
鍼灸院の患者さんでも同じく、定期的に長く通って頂いているとその変化に気付くことがあります。
こういう感覚も、普段から養われていくんだと思います。
言葉では言い表せない感覚(第6感?)も研ぎ澄まされていくように思います。

 

2) 今を大切にできる

元気な体や命には限りがあることを感じます。
若いとき、元気なときに、病や死を意識することはあまりありません。
でも、それらはいつやってくるか分かりません。
将来の為に、老後に備えていても、老後が来ないこともあります。

大きな災害や戦争のときも意識できますが、身近でなかったり、時間が経つと忘れてしまいます。
身近な家族を介護や看病をしていると、それが「いつか」や「他人事」では無くなり、
「今」の「自分事」になります。

介護の為に時間は取られますが、そのお陰で大事なことに時間を割くようになりました。
今できることを、今することも大事だと思うようになります。

 

3) 今後の人生を考える

親の老いを見ることで、自分もいつかこうなるんだと想像します。
もちろん、育ってきた環境や時代が異なるので、同じようにはいかないこともあるでしょう。
けど、血の繋がる親であれば、遺伝する部分もあります。
性格も似ている所を感じます。
良い所を引き継ぎたいですが、衰えていく時は、どちらかと言うと悪い所に目がいってしまうもので…

そうなら無いように気をつけます。
望みを相手に伝えることは大事に思います。
老いたときに心身ともに穏やかに過ごす為には、若いときの過ごし方や、人とのつながりも大切に思います。

 

親の介護を通して、そんなことを学ばせてもらっています。

 

(院)

第29回 アレルギー週間 市民公開講座

日本アレルギー協会では、毎年2月にアレルギーに関する市民公開講座を開いています。

 

関西支部では、

京都(2/25(土))、滋賀(2/26(日))、和歌山(2/11(土))がWEB開催、

大阪(2/18(土))、奈良(2/23(祝))、兵庫(2/19(日))は会場とWEBの同時開催で、

おこなわれます。

また各会場とは別にzoomにて、

2月26日(日)『第29回 アレルギー週間市民公開講座 オンライン講演会』

https://www.jaanet.org 

も開催されます。

(※こちらは滋賀の講座と日時が同じなので、重複注意です)

 

近年は特にアトピー性皮膚炎の新薬が続々と出てきて、これからのアトピー治療は大きく変わるといわれています。

アトピー性皮膚炎をはじめ、食物アレルギー、喘息など、アレルギー疾患の最新の知識に触れてみませんか?

 

講座ではアレルギー専門医への質問も受け付けています。

居住地に関わらず、どの会場でも参加・視聴ができます。
すべて無料ですが、定員があり、事前申込が必要です。

 

詳しくは

日本アレルギー協会関西支部HP
『第29回 アレルギー週間市民公開講座』

からご確認ください。

(副)