人に教えること

この4月から、母校の鍼灸専門学校で、非常勤講師として授業を受け持つようになりました。

これまでも「学生臨床」で、鍼の技術(反応点治療)を指導していましたが、今年からは座学の授業です。

スライドや講義資料、そして今の緊急事態宣言中からオンライン講義となり、確認プリントの作成が追加されたりと、事前の準備が大変になりました。。。

ですが、前期授業分の資料が準備できて、やっと自分の時間も取れ出して、今年の目標にしていた「毎月ブログを書く」の為にこのブログをあわてて書いています。

 

この「人に教える」ということは、とても勉強になります。

間違ったことやいい加減なことを教えられないので、師匠の授業資料はもちろん、教科書や専門書を見返したり、文献を調べ直したりします。

その過程ももちろんそうですが、人に伝える(アウトプットする)ことが、さらにその学習を深めてくれています。

ラーニングピラミッド

学生にも紹介している「ラーニングピラミッド」です。

その数字や根拠はあやしいとされていますが、参考にはなると思います。

 

最近よく言われるアクティブラーニング(主体的な学び)は、下の3つに当たります。

そして上の方がいわゆる「インプット」ならば、下の方が「アウトプット」とも言えるかと思います。

私たちが実践する「反応点治療」の勉強会や講習会では、まさにこの下の方に、重きを置いています。

聞いたり見たりして分かることは少なく、自ら考えたり気づくことで、修得できるものだと考えています。

(学生時代は、もっと技術を見せて貰いたいと思っていましたが、浅はかでした。。。)

 

話がそれましたが、上の図で学習の定着率は、「講義」が最も悪く、「人に教えること」が最も高いとされています。

つまり、「講義」をしている私が、最も勉強になっているわけです。

そして「講義」を受けている学生が、最も勉強できていないということに。。。

 

だから学生にとっては、受動的に「講義」を聞くだけでなく、それをいかに他人に伝えたり、ディスカッションしたり、実践できるかが大切になってきます。

オンライン講義だけでは限界もありますが、その分、講義の時間は増やされ、十二分にインプットはできています。

あとは、それをいかにアウトプットできるか、それを活かすも無駄にするのも、やはり学生さん次第ということです。

 

私は、それをいかに実践してもらえるように、伝えられるか。

教えずに教えることができるか。

学生さんへだけでなく、患者さんへも同じことが言えますね。

勉強は続きます!

(院)

腸の免疫に肝臓が関わる

先日、日経メディカルで面白い記事を見つけました。
「腸の情報は肝臓を介して脳へ伝わる」というもので、
腸の膨大な情報はまず肝臓へ伝わって、そこで集約された情報が迷走神経によって脳へ伝えられ、脳はその情報をもとに迷走神経を介して腸の免疫の調節をしている。という仕組みが分かったのだそうです。

普段アトピーやアレルギーの患者さんのお体をみせて頂くと、肝臓と小腸の反応が強く出ています。
肝臓と小腸の不調が症状の悪化に関わっていると感じていました。
今回、腸の免疫の調節に肝臓が関わることが科学的にも検証されていて、なるほど!と納得しました。
小腸内で免疫の応答を穏やかにする免疫細胞を増やす、腸内細菌も見つかってきているようです。
体の仕組みが分かると出来ることも増えそうですね。

循環が良くないと病につながるので、まずは腸や肝臓の循環を良くして、働きをサポートしたいと思います。
ご自身で出来ることは、肝臓付近のツボ「期門」、小腸のツボであるおへその上下にローラーをしたり、お灸をすることです。
体のしくみにある脊髄反射を使って、ダイレクトに肝臓や小腸に働きかけてくれます。
こまめに優しい刺激を積み重ねることが効果的です。

アレルギーの気になる方や、おなかの不調がある方は、是非毎日取り入れてみてください。

(副)

新生活のケア

皆様こんにちは。
新年度が始まりましたね。
いかがお過ごしでしょうか?

今年度は院長が師匠である河村廣定先生に代わって、母校の鍼灸専門学校で反応点治療の授業を受け持つことになりました。(授業は定休の毎週水曜ですので治療院は変わらず診療しております)
副院長も月に1~2回ほど実技授業のサポートに入る予定です。
新しい生活に少し、いや、かなり緊張しております。(特に院長)

新しい生活は慣れるまで緊張が続きやすく、脳の活動が優位になりがちです。
脳の活動が優位なままだと、消化器の働きが落ちたり、睡眠が浅くなったりしがちです。
上手く消化できないと胃痛、便秘や下痢にもつながりますし、睡眠が浅ければ疲労がとれません。

新生活の緊張からくる不調は脳の覚醒が続いてしまうことから起こります。
脳に近いお顔周りにはたくさんの感覚器が密にあり、その情報が絶えず、ダイレクトに脳へ送られています。
お顔周りの疲れや不調が脳へ与える影響はとても大きいのです。

この時期に体を整えるにはお顔周りのケアが効果的です。
効率よく脳の負担を減らしてくれます。

普段からよく使う目。
花粉や黄砂にさらされている鼻や喉。
立ちくらみやめまいがあったり、気圧や天気の変化に弱い方は耳のローラーケアがおすすめです。

ポイントは強く刺激しないこと。
強い刺激はかえって興奮を高めることもあり、脳がリラックスできません。
気持ちの良い優しい刺激が効果的です。

私たちもお顔周りの優しいローラーケアで効率よく脳の負担を減らして、この時期を乗り切りたいと思います。

 

新しいといえば、、治療院のカーテンを新調しました!

New カーテン


新しいカーテンの色は、以前から少しずつ取り入れている木目調に合わせて、ベージュにしました。
以前のものより長く、透けないものにしました。
そして何よりの特徴は 抗菌・抗ウイルス素材!です。

抗ウイルス

50回洗っても効果が保たれるそうです。

これからも進化しながら、皆さまに安心して鍼灸を受けて頂けるよう、努めて参ります。
少し新しくなった治療院でお待ちしております!

(副)

花粉時期のケア

兵庫県では、スギ花粉の飛散がピークを迎えています。
次に来るヒノキのピークは3月下旬から4月上旬にかけてのようです。
 

治療院でも花粉症状の方の来院が増えています。
お顔周りや内臓の施術で花粉症をお持ちの方も症状が緩和されます。
体調によって症状の出方が変わることは、患者さんご自身も体感されています。
しっかり睡眠をとって、目や小鼻の横のローラーや、肝臓ローラーケアを取り入れるだけでも症状は軽くなります。
 

花粉症の症状がある時期に甘いものを多くとると症状が悪化する例も多いです。
甘いものを食べると粘膜の毛細血管が拡張することで鼻水が増し、また、炎症部位に免疫細胞が集まりやすくなり、更に炎症が惹起されて、かゆみやムズムズ感も増します。
 

そして、花粉に触れなくとも何かの拍子に、くしゃみが連発、かゆみが止まらないという経験もありませんか?
一般的なものとしては、寒暖差アレルギーとも呼ばれたりする寒冷刺激により鼻水の出る症状や、辛いもので鼻ズルズルになる味覚性鼻炎、晴れた日に横断歩道の白線を見たときのような光刺激によるくしゃみ発作(photic sneeze reflex)があります。
調べてみると、性行為後のくしゃみ発作、満腹時に起こるくしゃみ発作(gastric fullness sneezing)などの神経反射的な反応もあるようです。
明確なメカニズムは十分解明されていないようですが、どれも副交感神経の興奮が関与しているようです。
ある部位で高まった副交感神経活動は、上位にフィードバックされ別の部位の副交感神経の活動も活発化するという仮説で、十分なエビデンスはないようです1)
 

話は飛びましたが、花粉症の時期に皮膚のかゆみを感じられる方も多いです。
角質がめくれるなど皮膚に小さな傷があると花粉が付着した時に免疫反応が起こり、湿疹に繋がります。
余計な免疫反応を起こさないために皮膚のバリアをしてあげると症状が軽くなります。
花粉が直接皮膚につかないように花粉を洗い流してから保湿剤をつけると効果的です。
更なるアレルギーの原因となる経皮感作も防げます。
 

粘膜は毎日作られているので体を守れる丈夫な粘膜が作られるように毎日セルフケアをすることをお勧めします。
この時期は甘いものを控えて、しっかり睡眠をとり、保湿&ローラーケアで乗り切りましょう。

(院&副)

1)近藤健二. 鼻炎の病態生理と神経反射. 耳鼻免疫アレルギー(JJIAO). 35(3): 261-265. 2017.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjiao/35/3/35_261/_pdf

 

花粉と体調

今年も花粉症の季節がやってきました。

花粉症による経済損失は、1日あたり約2,215億円という報告もあり1)、この時期のつらい悩みの一つです。

そして、同じ調査では、相手も花粉症だと親近感や好意を覚える人が、約5割もいるとか。

なので、昨年以上に早くから目のかゆみと鼻水の出ている私も、積極的に花粉症の話題を振っていきます。

すると、マスク生活で例年よりは無事かと思いきや、症状の出ている方が多いように思います。

アレルギーは、アレルゲン=花粉以外の要素も大きく関わっていることが示唆されます。

 

鍼灸にも抗炎症作用は言われていますが、その威力は弱いものです。

アレルギー反応を起こしてしまっているときは、抗アレルギー薬を使いますし、おすすめしています。

それでも薬の効き目がいまいちのときや、症状が軽いとき、そして花粉症によるその他の愁訴(頭重、首肩コリ、不眠、倦怠感 etc)には、鍼灸も大いに役に立ってくれます。

 

今のアレルギー症状を全て花粉のせいにせず、自分の健康状態や生活習慣を見直すきっかけにも思って、しっかりセルフケアしてこの大変な時期を過ごしたいと思います。

 

1)Panasonic 「社会人の花粉に関する実態調査」

令和3年アレルギー週間市民公開講座が開催されます

今年も2月2日のアレルギーの日が近づいてきました。

例年、近畿2府4県にて会場にて開催していました「アレルギー週間」の市民公開講座ですが、令和3年は2府3県の5会場でLIVE配信でのWEB講演会として開催となります。2月6日より毎週末、無料配信されます。
視聴にはインターネットへの接続とZoomアプリケーションが必要です。

全会場で受付開始しています。
全会場、内容が異なるので、ご興味のあるアレルギー等についていずれの配信日もお申込み可能です。

300~500名入室(視聴)可能な設定となっていますので、多くの方が視聴可能とのことです。
一般向けの講演なので気軽に参加できます。

日程、内容など、詳しくは日本アレルギー協会関西支部ページをご覧ください。

http://allergie-kansai.jp/publics/index/113/

(副)

2021年1月18日 | カテゴリー : アレルギー | 投稿者 : sorashiya

コロナ対策続けています

先日見かけた記事を紹介します。

近畿大学医学部環境医学・行動科学教室准教授の東賢一氏を中心とする研究チームが、医療現場における新型コロナウイルス感染症のリスクを「飛沫感染」「接触感染」「空気感染」といった感染経路別に換算するモデルを構築し、感染リスクを数値化し、算出しました。
同時に、「サージカルマスク」「フェイスシールド」「換気」などの感染予防策を行った場合の評価も載せられています。

https://newscast.jp/news/5032698?fbclid=IwAR3bavIcmlAW7LKC93UmLmQ4U87T0k69F76sY_aB1Cet8aumU1XMm8MtFvU

この研究論文は 今年1月3日に環境衛生学の分野で権威のある国際雑誌「Environment International」に掲載されたそうです。  
掲載論文:https://doi.org/10.1016/j.envint.2020.106338

内容としては、

〇「飛沫感染」が主な感染経路で「接触感染」のリスクもあり、まれに「空気感染」の可能性がある。

防護具などの対策では、

〇 医療従事者がサージカルマスクを着用した場合、感染リスクが 63~64 %低減、フェイスシールドを着用した場合 97~98 %低減、サージカルマスクとフェイスシールドを両方着用した場合 99.9 %以上低減する。

〇 患者がサージカルマスクを着用した場合 99.99 %以上低減する。

〇 合わせて換気を行うと更に感染予防効果が上がる。 

この研究では、飛沫を対策することで多くの感染を防ぐことが出来るということが具体的に示されたようです。

当院でもマスクとフェイスシールドを両方着用して施術しています。
施術後の手洗いや、作業ごとの消毒、換気も引き続き取り組んでいきます。

正しく警戒して、必要な施術が出来るよう心掛けていきます。

(副)

2021年1月14日 | カテゴリー : SORA鍼灸院 | 投稿者 : sorashiya

つらい咳に「奇跡」のお灸

明けましておめでとうございます。
今年も引き続きコロナ対策に努めて参ります。よろしくお願い致します。

寒くなると喘息の症状が増えてきます。
今年はコロナもあり、呼吸の乱れや連続する咳で外出もままならずお困りの方も多いと思います。当院でも喘息による咳に悩まされておられる方が来院されています。

鍼やお灸で施術すると呼吸が楽になったり、咳が治まってきますが、体の回復の為には毎日のセルフケアがとても役立ちます。
咳をしていると外出するのもはばかられますので、ご自宅でできるホームケアが助かります。

使っていただきたいのは、ローラー鍼か、煙の出ないお灸「せんねん灸奇跡」です。
お灸は煙が出るので、普通は喘息の方には負担になって使いにくいのですが、「奇跡」なら大丈夫です。

喉や胸、腕の付け根で、その人の反応点にお灸していただきます。

咳のツボ・反応点
(煙の出ないお灸)

ツボに照らし合わせると、中央の喉にある「天突」(てんとつ)、左右の胸にある「威中」(いちゅう)、腕の付け根「雲門」(うんもん)、「中府」(ちゅうふ)あたりになります。

お灸の刺激は優しいのでなるべく毎日するのがおすすめです。

せんねん灸の「奇跡」は煙が出ないので、お灸の におい が苦手な方にもおすすめです。
ぜひ試してみてください。

せんねん灸奇跡
当院でも販売しています。
「せんねん灸奇跡」は、30個500円です。

(副)

美容鍼灸学会に参加しました

寒くなりましたね。
寒さはこたえますが、紅葉がきれいで嬉しいです。

さて、連休中は、「第一回 美容鍼灸 Academic Conference」をリモート受講しました。
皮膚について、また皮膚刺激の影響についても学びを深める機会になりました。

7時間の長丁場でしたが、皮膚科医による皮膚症状の原因や皮膚科での治療、鍼灸師による鍼の効果の研究、実際の美容鍼の施術を確認することが出来ました。

覚書としてまとめますと、

顔への施術が顔の組織に及ぼす影響としては、

・実際に顔の血流が良くなっている。
・実感しやすい効果はリフトアップ。
・刺鍼によって細胞に微細な傷をつけることで代謝の悪くなった細胞の再生(コラーゲン生成)を促す効果。

顔への施術が脳へ及ぼす影響としては、

・顔と手は脳へ及ぼす影響が大きい。
・様々な効果が期待できる(うつや認知機能、精神安定など)。
・ただ支配神経が複雑なので分析は難しい。
・働きすぎている部分は抑制され、働きの悪い部分は活性するような効果が出ている可能性。

顔(耳を含む)への施術が全身(消火器や不定愁訴、循環器)に及ぼす影響としては、

・同じ部位を刺激していても様々な効果に繋がっている(顔のローラー施術で線維筋痛症の体の痛みが軽減した例など)。
・単一のメカニズムではない。どう効いているのか検証された研究はまだない。

顔への施術は美容だけでなく脳から全身にも働きかけてくれていますが、実際の機序については研究途上ということのようです。

他にも、
・うるおいは皮脂でなくセラミドが維持。
・しわの原因はコラーゲンの生成不足で乾燥ではない。
・骨の健康のために適度に太陽にあたることも必要。
・最近増えている「酒さ」には腸内環境が関わっている可能性がある。

などがありました。

肌の真皮層への施術がコラーゲンの生成を促すので、施術に取り入れたいと思います。

盛りだくさんの内容でしたが、聞き取れなかった部分などビデオで確認できるようなので復習したいと思います。

遠方への外出が難しいですが、代わりにリモートの勉強会が増えていて有難く思います。
これからも進化できるようにアップデートしていきたいと思います。

(副)

汗をかく時期のお肌のケア・アトピーさんの入浴について

この暑さでは毎日滝のように汗が流れて、保湿ケアをする気も失せてしまうこの頃です。

でも頻繁に拭き取ったり洗い流したりしていると、汗と一緒に肌に必要な皮脂も流れてしまうので、この時期のお肌はパサパサになりやすくなっています。
SORAに来られる患者さんにも肌のごわつきを感じる方が増えています。

日焼けによるダメージの予防や、修復のためにも保湿は必要です。

以前は入浴後すぐに保湿しないと効果が無いように言われていましたが、最近では入浴30分後に保湿した場合でも、90分後の肌の水分量に変わりはなかったというデータもあるようです。

無理をしないで、少し体の熱気が冷めてから保湿するのも良いようです。

アトピーさんも入浴後すぐに薬を塗ったり保湿したりすると、熱がこもってかゆみが増してしまう例が多くあります。
余計な掻き壊しを防ぐためにも、熱気が冷めてからが良いようです。

アトピーさんの中には汗に含まれるマラセチアにアレルギー反応を起こしている方もおられます。
汗でかゆみが増す方は、ぬれたタオルで押さえたり(こすらない)、シャワーで流すのが良いようです。

アトピーさんの入浴にはいろいろな説がありますが、最近では、ジュクジュクした湿疹には、かゆみや炎症の原因になる菌が繁殖しやすいことが分かってきています。
なので、石鹸を泡立てて患部を優しく覆うように洗い、石鹸成分が残らないようにシャワーでしっかりすすぐのが良いとされています。

ジュクジュクが治まって、ある程度症状が落ち着いたカサカサした湿疹になったら、過度に石鹸を使わずに入浴やシャワー浴すると、肌の潤いを保ったり、肌に良い働きをするという常在菌を保ちながら清潔に過ごせるそうです。

過ごしにくい日が続きますが、一緒に乗り切りましょう。

(副)