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来年の花粉症治療

今年も暖かった先週あたりに、花粉症がひどくなっている方がおられました。サクラと同じく、遅めにどっと来た感じです。ここ西日本では、花粉はスギからヒノキへ移り変わっていますが、「ヒノキの方が症状がきつい」、「目のかゆみがひどい」、「ノドが不快」といった患者さんも多かったように思います。

スギに対してアレルギーを持っている人は、ヒノキも併発しやすいことが言われています。ヒノキに反応している人は、スギ花粉が飛び始めてから長期間、アレルギー症状に悩まされることになります。すると、始めは鼻だけにきていた人も、鼻詰まり⇒口呼吸⇒咽へ影響、という一歩進んだ症状に移りやすいとも言えます。症状は長引くほど、重症化しやすい傾向があります。

とはいえ、ヒノキもピークを迎え、春の花粉症は、あと少しです。鍼灸治療でアレルギー症状やそれに伴う他の症状(頭痛、肩こり等)を楽にすることができます。それら症状の程度は、体調などによっても変わります。花粉量と症状の度合いは比例しないようです。「花粉」だけが問題ではなく、花粉に対する「身体」の問題です。だから、花粉を責めるよりも、自分の身体を見直してみましょう。

また、一般的に、花粉症のようなアレルギーは、「一度発症すると治らない」とか、「アレルゲンに触れると必ず反応するようになる」と言われますが、そうでもありません。アレルギー疾患に関わる免疫反応は複雑です。単純に免疫が上がるとか、下がるとかでは説明できないものもあります。

そんな花粉症もできれば、マスクや抗アレルギー薬といった対症療法に頼らず、根本治療を目指したいところです。それには、一般的に根本治療として認められている「減感作療法」と同じく、花粉症の飛散時期を避けた、これから次のシーズンまでが重要なのでしょう。花粉症のつらさも実感している「今」が、治療の始めどきなのです。

かく言う私も、この春の花粉に対してアレルギーがあるようです。(そう、先週あたりにどっと。)そんな花粉に反応しない身体になったと、いつかご報告できればと思います。
 
 

はり灸レンジャーで4回目の熊本訪問

熊本へのボランティアや新年度の準備もあり、ブログの投稿をすっかりご無沙汰してしまいました。そのはり灸レンジャーによる熊本ボランティアの概要と感想です。(院長、副院長と続きます。)


一日目 2017/3/19(日)

当日、芦屋駅から大阪行きの始発電車に乗って、新大阪へ向かいます。熊本へは、新大阪から約3時間で到着します。(東北まで高速バスで13時間かけて行っていたことを思うと、随分近く感じます。)熊本で他のメンバーとも合流し、最初の目的地へ向かいます。(今回のメンバーは、鍼灸あんまマッサージ指圧師1名、鍼灸師3名、アロマインストラクター1名の計5人。私たちは前回に引き続き、夫婦で参加でした。)

【益城町】木山仮設団地

ここは前回11月の訪問に引き続き、2回目の訪問でした。益城町で2番目に大きい仮設団地です。集会所もいくつかあり、前回とは違う集会所の利用となりました。

住民の方への告知が十分ではなかったようですが、当日の呼びかけで、まずまずの盛況ぶりでした。子どもたちやボランティアの方も来られ、にぎやかになりました。毎週子どもが集まれるイベントをされていたり、地域の方によっていろいろな企画もされていました。集会所の壁に貼られていた、東北からの励ましの声も、印象的でした。

 

【御船町】地域の食堂

こちらも前回に引き続き、2回目の訪問でした。被災されたのは、仮設住宅にいらっしゃる方だけではありません。被害を受けながらも、自宅に住まれている方もおられます。また、「みなし仮設」と呼ばれる民間の賃貸住宅を仮の住まいとして入居される被災者の方々もおられます。そして、そちらの方への支援が、十分に行き届いていないという話はよく聞きます。地域の拠点とも言えるこちらでも、そういった支援の届きにくい、孤立してしまいがちな被災者の方々のことを思われる声をお伺いしました。また、地元に戻って、復興の為にボランティアをされている方にもお会いしました。被災されたご自身たちが、どうやって地域を支えようか、何ができるのか、模索され、行動される姿に心動かされました。

 

二日目 2017/3/20(月・祝)

【南阿蘇村】南阿蘇ケアサービス

こちらは、昨年の8月以来、2回目の訪問でした。前回の夏の暑さから一転、雨もあってか、この時期でも寒さを感じました。

こちらでは、福祉施設サービスの利用者をはじめ、スタッフの方々にも施術を行ないました。トンネルが開通し、熊本市内から南阿蘇まで前回より20分程の短縮ができていました。しかし、まだう回路通勤の負担は続いているようです。ボランティアもあまり入らない地域で、レンジャーの訪問が大変喜ばれました。

介護福祉の現場は、ただでさえ人手不足、重労働です。そんな中での被災です。職員の方々の疲労が際立っていました。

 

三日目 2017/3/21(火)

【御船町】旧七滝中仮設団地

こちらは、昨年に引き続き、3回目の訪問です。1回目の訪問は、はじめて談話室が使われたような時期で、コミュニティもまだこれからという時でした。集まる住民の方々も、どこかよそよそしい感じがしていました。しかし今回は、外で歩かれている方を呼び込まれたりと、親しくなられている様子も見受けられました。やや山間にある仮設ながらも、活気がありました。しかし、東北でもありましたが、病院が遠いなど医療サービスの不便さが、気になりました。病院に行くほどでもない程度の症状に、セルフケアが役立ってもらえればと願います。

 

今回の活動は、全て訪問したことのある場所でした。ところが、用意した新しいカルテ50枚が足りなくなるほど、初めての施術の方が中心でした。鍼灸が初めてという方も多かったです。もちろん、以前に施術を受けられて、今回を楽しみに待たれていた方もおられました。しかし中には、混雑ぶりを見て、「前回受けたから」と、遠慮される方もおられました。被災者の方が、お互いに気遣われ、支え合われている様子も、印象的でした。

また、昨年から私たちボランティアをコーディネートして下さった方とも再会することができました。今回の全ての訪問地も、直接お会いして顔と顔のつながる関係があってこそできた活動です。こういった、1回切りではないボランティア訪問が、活動の場を広げてくれていると感じます。

復興には長い道のりですが、私たちにもできることを、今後もサポートさせて頂きたいと思います。

(院長)

 


 

私個人としては3回目の熊本訪問です。最初の参加地である、益城町、御船町、南阿蘇への再訪でした。前回には行けなかった南阿蘇にも伺え、懐かしい方との再会もありました。

益城町、御船町では震災後の緊急支援でサポートに入られていた団体がコーディネートをしてくださいましたが、今回からは地域の受け入れ団体と直接のやり取りでの初めての活動です。

益城町木山仮設住宅では、仮設にお住まいではない、地域の方も集会所のイベントに参加できるようになっており、活気がありました。伺った日も地域のボランティアの方が毎週開いている子供の集いの日でした。子供も、そのお母さんも、企画されたボランティアの方への施術もでき、充実した活動になりました。仮設にお住まいではない、地域のボランティアの方も皆さん被災されていました。地域の繋がりを作るために何ができるのか、皆さんが考え、お互いを支えておられました。仮設での新しい暮らしが少しでも過ごしやすくなることはもちろん、仮設には入らなくて済んだ方も、生活の立て直しにサポートが必要なのは同じ。仮設を拠点にして、地域ごと復興していこうという気持ちが伝わりました。

御船町では震災前からの繋がりが保たれた地域2か所での活動でした。前回受けられた方が来られ、良かったからと声掛けもしてくださり、とても充実した活動になりました。地域の人の明るさ、マンパワーを感じました。地域の繋がりがあれば、一人一人の不調にも気づくことができます。震災後に続く、体の不調についても、隣近所で把握しておられ、「大丈夫?」という声かけもできていました。すぐ近くでなくても、近隣の住民が困っていないか、意識を向けておられる方もおられました。人は「気遣われている」と感じるだけで心強いのだと思います。地域の方の、その大切な心遣いが印象に残りました。御船町の地域支え合いセンターの職員さんに伺うと、私たちが活動した御船町の2か所は、特に良い雰囲気のできた所なのだそうです。全ての地域や仮設住宅があのようになれば良いのでしょうが。

南阿蘇では、地域の福祉を支える福祉施設での活動でした。利用者さんとスタッフの方への施術でしたが、高齢の利用者さんよりも、スタッフの方々の疲労が気になりました。もともと忙しい業種であるスタッフの方々も、皆さん被災されています。トンネルが開通して山越えは無くなったものの、迂回通勤の負担も続いていました。周囲に身体をケアする施設も少ないようで、多忙もあり、メンテナンスを受ける機会のない方が、ほとんどでした。前回よりは環境が落ち着いたと話されていましたが、身体の疲労が際立ち、心に残る場所になりました。

今回の訪問を終えて、熊本の方々の人の温かさ、支え合う気持ちの強さが印象に残りました。地域の方々のお陰で沢山の方に施術し、セルフケアをお伝えすることができました。私たちのボランティアをきっかけに、鍼灸に通われたという嬉しいお話も聞けました。

まだまだ生活の不便や負担は続いています。被災された皆さんが少しでも過ごしやすくなられるよう、これからも、私達にできることを続けていこうと思います。

(副院長)

 

 

3/11を迎えて

東日本大震災から丸6年の今日、芦屋市では訓練の緊急速報メールが一斉送信されました。

朝10時になると、SORAでも皆さんのスマホが一斉に鳴りだしました。

 

節目に災害時の行動を改めて想像し、また日々の平安の有難さを感じることができます。

院長、副院長が参加しているはり灸レンジャーの活動も7年目を迎えます。

今年も東北での活動と昨年から加わったの熊本での鍼灸活動を予定しています。

まずは今月19日から熊本での3日間の活動が始まります。

 

関西には東北から避難され、生活されている方も多くおられます。

今朝の新聞では阪神間で109世帯298人、そのうち芦屋市には19世帯44人の方が今も避難生活を送られているそうです。

これからの活動として、こちらに避難されている方々への鍼灸ケアもできればと模索しています。

できることを少しづつ続けていこうと思います。
 
 
 

THE SCIENCE OF YOGA

前回の本に続き、科学的に知りたくなるのが性格のようです。
患者さんが、ヨガをされていたり、ヨガの指導をされていたりと、よく話題にもあがります。
が、私(院長)は経験もなく、どういったものか、わからないでいました。
運動や体操の一つで、今の現代生活に合っているのだろう(流行りから)という程度にしか思っていませんでしたが、この本を読むとまた印象は変わりました。

単に「ヨガはいいですよ」と書かれているのではなく、リスクや負の影響についても科学的に検証されていて(参考文献の紹介だけでも60ページ近くあります)、逆にヨガに対して良い印象が持てました。
(原著者はヨガ歴40年のヨガ愛好者でもあり、バイアスもありそうですが。)

意外だったのは、「ヨガは身体の代謝率の低下に極めて効果的」ということ。
つまり、「すべての条件が同じならば、ヨガを実践する人は燃焼するカロリーが少ないため、体重が増え、脂肪が蓄積されやすくなる。」ということです。

しかし、私の知る限りのヨガの先生や実践者は、筋肉質でスリムな体型の方も多いように思います。
それは、代謝率を低下させたとしても、それ以上の(ダイエット)効果として、「ヨガ行法によって身体に対する気付きが高まることや、心が落ち着いてストレスによる摂食が減ることなどが考えられる」というものだそうです。

それは、鍼灸治療でも同じことがあると思います。
「鍼灸でダイエットできますか?」という質問は度々受けてきました。
ここに鍼を刺せば痩せるなんてことは、知りません。
でも、「ストレスを軽減することで、食欲が落ち着き、痩せることはある」とは答えます。
ストレスを紛らわせる為に、食に走ってしまうことはあると思います。
慢性的にストレスが加えられると、前頭前野の機能が低下し、思考力・判断力・集中力が低下して、感情や衝動の抑制が上手く働かなくなるとも言われています。
そのストレスを軽減することができれば、鍼灸もダイエットに効果的なのです。

話がそれましたが、ヨガの魅力の一つは、「呼吸」ではないでしょうか。
頻呼吸で、体内のCO₂蓄積量、血中濃度が低下します。(O₂が関わっているわけではないことはポイント。呼吸に応じてO₂量が変化するものではないのです。安静時の酸素量は、ほぼ飽和状態なので。)
その頻呼吸はいわゆる過呼吸とも呼び、行き過ぎると、立ちくらみやめまい、頭痛、意識の喪失などもあり得ます(呼吸性アルカローシス)。
しかし、適度に抑えることができれば、気分を高揚させ、アドレナリンを放出させたりと、自律神経系・免疫系に影響を与えることもできるのです。

逆に徐呼吸となれば、CO₂の排出が抑えられ、血中濃度は上昇します。
「その結果として脳血管は膨張し、脳が酸素を取り入れる量が、増加」します。
それは、「精神面に強い効果があり、穏やかな覚醒状態やありのままの気づきが促される」ようです。
「極めて心地よい静寂感」とも称されています。
動物が周囲を慎重に探り警戒して身構えるかのように。

つまり、「早い呼吸法は興奮させ、遅い呼吸は落ち着かせる傾向にある」のです。

また、ポーズによっても(頭立ち、肩立ち)、頸動脈圧を調節し、自律神経系に作用できることが書かれています。
しかし、そのポーズによっては、椎骨動脈等へ負担をかけ、深刻な損傷が生じ得ることもあります。
従って、ヨガも素人判断で実践するよりも、よく勉強された信頼のある先生に指導してもらうか、自分でしっかり理解して行なうのが賢明なのでしょう。

まずは呼吸法からでしょうか。
私たちも取り入れてみたいと思います。
 

2017-03-07 | カテゴリー : | 投稿者 : sorashiya

耳について

今日(3月3日)は、耳の日ということで。

<耳の役割>

音の伝導路としてはたらく聴覚器官

音は空気の振動です。振動した空気は、いわゆる「みみ」と呼ばれる外耳でひろわれ、中耳にある「鼓膜」、「耳小骨」へと増幅され伝わっていきます。その振動は内耳にある「蝸牛管」に伝えられます。蝸牛管の中にはリンパ液があり、その揺れが、「有毛細胞」と呼ばれる特殊な細胞の感覚毛を刺激して、電気信号が発生します。その信号が、「内耳神経」を通じて脳に伝えられ、音として認識されます。このどこかのトラブルが、音の聞こえに悪さします。

絶対不可欠な平衡感覚器官

耳と言えば、外から確認できる聴覚器のはたらきはよく知られていますが、実はこの内部にある平衡感覚器のはたらきも、非常に重要です。平衡感覚器があまり知られないのは、そのはたらきが普段わかりにくいものだからでしょう。しかし、この機能が失調すると、姿勢も保持できず、吐き気をもよおし、食事も困難になります。つまり、生死にも関わります。目が見えなくても、耳が聞こえなくても生きていけますが、平衡感覚がないと生きていけません。また、普段気付かない感覚器なので、ここの不調は自分でもわからない精神状態(脳)にも大きく影響すると考えます。

<耳の構造>

耳の構造は、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)に分かれています。

 

【外耳】

外から見える部分で、音波を受信するアンテナのようなはたらきを持ちます。ここで音波をとらえて、鼓膜へと振動を送ります。この入り口に耳垢(みみあか)などが詰まっていると、音は聞こえにくくなります。当たり前なことですが、意外とそれで難聴を訴え、病院に来られることもあるようです。ちなみに、耳には自浄作用というものがあり、耳掃除はされなくてもいいらしいですよ。むしろ、耳掃除で、傷つけてしまったり、耳垢を奥に詰まらせてしまったり、負の影響が大きいようです。(今年、米国の耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が、耳掃除しないように忠告しています。)
耳は左右で二つあります。左右に入る音のずれを脳が感じ取ることで、音の方向を判断します。耳のはたらきは繊細です。

⇒ 外耳のトラブル
外耳を原因とする場合は、耳の穴から虫や異物が入り込んだ場合などが考えられます。耳あかが詰まって難聴ということもあります。ただ、これらの原因は、外から耳の穴をのぞいてもらえばわかるものです。

 

【中耳】

中耳は、「鼓膜」の奥に位置し、鼓膜の振動を増幅させる「耳小骨」(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)と呼ばれる、人体で最も小さい骨が存在します。また、その鼓膜や耳小骨を支える筋肉もあります。ここの不具合が、音の聞こえに影響することもあります。
この中耳はふさがっており、電車や飛行機に乗っているときに急な気圧の変化があると、鼓膜に圧がかかります。すると音が聞こえにくくなったりもしますが、物を飲み込んだりすることで自然に空気が流れ込み、解消されます。それは、中耳が、「耳管」というトンネルで、口とつながっているからです。

⇒中耳のトラブル
鼓膜は、振動を伝える太鼓の皮のようなもので、その緊張度によって音の伝わり方が変わります。炎症や気圧の違いによって変化することもあります。耳小骨は、小さな筋肉によって音の伝え方を調整されています。この筋肉が緊張を起こしていたり、炎症などで耳小骨の連結に癒着が起こっていると、耳鳴りの原因となる可能性があります。そして耳と鼻をつなぐ耳管が、狭くなったり、開きすぎていても、「耳管狭窄症」や「耳管開放症」といって、難聴や耳鳴り、音や声が響いたりすることもあります。
いわゆる「中耳炎」という状態は、ここのトラブルを生みます。一時的な炎症であればいつの間にか治ったで済みますが、慢性的に炎症しているとなると、ずっと不調を感じることもあるでしょう。しかし炎症である以上、その状態により変化もし、それが治まれば「治る」ことも可能です。鍼で炎症を抑える、回復を早めることができます。

 

【内耳】

内耳は、聴覚器官である蝸牛(かぎゅう)と、平衡器官である前庭(ぜんてい)という二つの部分から構成されています。
さらに、平衡器官の前庭は、水平と垂直方向の位置を感知する卵形嚢(らんけいのう)、球形嚢(きゅうけいのう)と、回転を感知する三半規管で構成されています。その中はリンパ液で満たされています。この小さな器官の状態によって、聴覚や平衡感覚に不具合が生じてきます。
内耳は、それほど有名ではありませんが、非常に重要なはたらきを持っています。めまいやふらつきには、ここの失調が大きく関与します。ここは狂いにくいとこですが、一度狂うと、その回復には時間も要します。

⇒内耳のトラブル

〔聴覚〕
内耳にはリンパ液が満たされています。このリンパ液の環境に問題があれば、聞こえ方にも影響が出てきます。聴覚は「蝸牛管」、平衡感覚は「三半規管」と異なる器官に役割は分かれますが、同じ内耳にあり、リンパ液で満たされています。耳鳴りとめまいは同時に現れることが多いことから、このリンパ液に何か問題が起こっていることは十分考えられます。
リンパの中でも、内リンパは「血管条」というところで産生・排出されています。この血管条はその名の通り、蝸牛管内の毛細血管の網をなしています。つまり、ここは血液循環の影響を受ける部分です。そして内リンパの中には、「有毛細胞」があります。リンパを伝わってきた物理的振動を、神経から脳へと伝えるために電気信号へと変換する部分です。「外有毛細胞」が振動の増幅を、「内有毛細胞」が聴神経へと伝えるはたらきをしています。細胞である以上、血液によって養われています。
耳鳴りの薬として処方される、血流改善剤、利尿剤などは、これらリンパや血液循環に作用します。ただ、薬は全身を巡り、どこに作用するかあいまいです。耳鼻科へ行って治りが悪くとも、鍼灸治療で治ることもあります。鍼灸ではこの内耳を狙い撃ちできることから、その効果も高いと感じます。

 

〔平衡感覚〕
平衡感覚器の特徴
内耳の三半規管で感じ取ったバランスの情報は、大脳を介さずに直接機能します。他の感覚には大脳に「感覚野」があるのに対し、「平衡感覚野」というものは存在しません。それは、平衡感覚が生物にとって、考えるより先に反射的にはたらかなければいけないからでしょう。また、他の感覚と違って、普段感じにくいことも特徴です。

平衡感覚の失調
めまい、ふらつき、立ちくらみなどを感じます。あまり意識しない感覚ですが、動物にとって生きていくためには絶対欠かせない重要な感覚です。
姿勢の悪さや、つまずきも平衡感覚の失調症状のひとつに含まれるでしょう。つまずくのは、わずかな段差や、視覚情報の制限された暗闇、立ち上がってすぐの寝起きなどが多いものです。筋力だけの問題ではなく、平衡感覚の失調による身体のバランス調節のずれや、それをカバーするために、知らず知らずのうちにすり足になりつまずいた、と考える方が納得できます。

自律神経系に影響
この左右の耳の奥にある平衡感覚器に障害が起きると、左右で異なる信号が脳に伝えられ、脳は混乱し、立ちくらみ、失神、吐き気、冷や汗、パニックなどの精神障害、いわゆる自律神経症状が現れます。
平衡感覚は常に働いているため、脳はずっとその混乱状況下におかれます。それは心の持ちようでどうにかなるものではありません。パニック障害、うつ病などの精神疾患は、そういった体の不調から起こるものだとも考えられます。

平衡感覚を失調させるもの
この内耳による平衡感覚を失調させる原因は、風邪と同じく菌や免疫力低下によるもので、内耳の粘膜やリンパの状態が悪くなったものと考えます。内耳内の三半規管は、リンパ液で満たされており、内耳の炎症によりリンパの流れが乱れることにあります。この炎症は、風邪を引いたとき、ストレスや過労で全身的に免疫力が落ちているときに起こりやすくなります。

平衡感覚の治療
あまり聞いたことはないかもしれませんが、治療できます。これらの症状に、平衡感覚をつかさどる左右の内耳の反応を確認します。本来感じにくい感覚なので、自覚症状がないこともあります。しかし、不調があれば、反射により反応が出ています。何も思い当たることはないけど、調子が悪いと感じるときは、この平衡感覚の不調を疑ってみます。
自覚症状が出る前にしっかりケアすることも大切ですし、症状がひどい方も、根気よくケアすることで回復に向かいます。この部分は変化を受けにくく、障害を受けにくいものです。逆にそこが障害されてしまうと、代謝も悪く、治りも悪いということです。この部分の治療は、根気強く長く続けることが重要です。

 

これら内耳のトラブルがベールに隠されています。内耳は頭蓋骨の中に埋め込まれた、非常に小さな器官です。覗くこともできないし、検査で測ることも困難です。だからこそ、医療に見過ごされがちになります。ただ、外界の情報を受け取って生きる動物にとって、ここのトラブルは深刻です。