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大阪府アレルギー疾患対策研修会

台風19号で被災された方々、復旧作業に関わる方々が大変な時間を過ごさていると思います。少しでも早く落ち着いた時間が持てますよう、心からお祈申し上げます。

10月13日、大阪府、日本アレルギー協会関西支部などが共催する、医療従事者向けの研修会に参加してきました。

今回は『アレルギー新患医療の現状と課題』~大阪府の取組み~ 近畿大学病院 病院長 東田有智先生。

『みんなが知りたい食物アレルギーの話』 独協医科大学医学部 小児科学 主任教授 吉原重美先生。

『アトピー性皮膚炎について』 京都府立医科大学大学院 医学研究科 皮膚科学教授 加藤則人先生。

『知っておくべき気管支ぜんそくの診療』 藤田医科大学医学部 呼吸器内科学Ⅱ 講座教授 堀口高彦先生。

『小児アレルギーエデュケーター(PAE)という、小児アレルギー専門のメディカルスタッフの取り組みついて』 近畿大学病院 看護部 看護師 PAE 谷川ゆかり先生。のお話を聞くことができました。

食物アレルギーでのアナフィラキシーの実際の映像などもありました。死にもかかわる疾患なのだと改めて感じました。  
知識を持てば、いざという時に子供を守ることができる。身が引き締まりました。

いざという事態を防ぐためには、食物アレルギーを予防することが大切だとも感じました。食物アレルギーの予防はアトピー性皮膚炎の対策でもあります。

今回学んだことを、SORAでもお伝えしていこうと思います。

東北鍼灸ボランティア2019

先週、秋のお彼岸の恒例になっている東北ボランティアへ参加してきました。

 

今回は久しぶりに宮城県の南三陸町にもお伺いできました。

タイミングが合わず、懐かしいお顔にお会いできなかったのは残念でしたが、震災当時に地元の世話役をされた方にお話を聞くことができました。

南三陸町 志津川の町の様子

福島では「はり灸レンジャー」としては4年前から毎年お伺いしている田村市にお邪魔しました。

鍼灸施術の他、忘れてしまいがちなセルフケアをお伝えしてきました。

 

詳しい活動の様子は「はり灸レンジャーブログ」に載せています。

他の参加メンバーの記事も読めますのでお時間のある時にどうぞ。

http://harikyuranger.blog.fc2.com/

福島県田村市のNPO法人事務所にて

子どもの視力回復

前回の「近視に対する鍼灸治療」に引き続き、今回は当院での施術報告です。今年に入って、小学生の視力回復が続きました。その中でもすぐに結果の出た一症例を紹介します(患者さんからも承諾頂いています)。

結果から言いますと、小学校での視力検査で両目ともC判定(少数視力 0.6~0.3)だったのが、約2週間後の眼科での検査は両目とも 1.5 にまで向上していました。

鍼灸施術前後の視力推移

 

今回は鍼灸の施術前後に視力測定を行ったことから、このようにグラフ推移で現わすこともできました。施術をすれば、その場で視力は上がりました。施術直後に大きく上がっているのは、一時的な視力向上の作用(縮瞳効果 1))もあるようですが、施術前の測定で両眼視力とも 1.5 が出ているときもあったことから、視覚機能への持続的な作用もあったと考えられます。

今回の鍼灸治療はシンプルで、眼の反応点に対するローラー鍼刺激です。鍼灸院での施術は週1回程度でしたが、自宅でのセルフケアは毎日されていました。毎日の積み重ねが、この結果につながったと思います。

ちなみに今回、私たちが感じる反応点をスコア化し、その反応点の変化と対数視力値の変化をグラフにしました。

 

反応点の程度と視力の変化量に、多少ばらつきもありますが、概ね相関が見られます。

今回の偽近視のような状態であれば、鍼灸も十分手立てになると思われます。

これが今後も続くのか、将来の近視予防につながるかは、これからの経過も見ていきたいと思います。

 

  1. 福野梓 , 鶴浩幸 , 片岡佳介 , 他 . 鍼刺激による屈折変化非依存性の視力向上効果 . 全日本鍼灸学会雑誌 . 2008. 58(2): 195 202

近視に対する鍼灸治療

私たちの所属する 一社)反応点治療研究会では、毎月勉強会を実施しています。所属する先生方が、日頃の臨床で経験した症例発表などを行ないます。 今月は私の担当で、今年に入って続いた、近視に対する鍼灸治療について発表しました。子供の視力低下でお困りの方も多いようで、こちらのブログでも紹介します。

 

最近は電車に乗っていると、多くの人たちがスマホを眺めています。そういったスマホやゲーム機器の普及等に伴い、近視を増強する環境要因は増加し、近視者の比率は非常に高くなっています。

日本ではこの30年で、小学生の裸眼視力が「1.0以下」は1.5倍以上、「0.3未満」は3倍以上に増加しています。昨年平成30年度では小学生の34%が、1.0未満と、過去最高の割合を示しています。 1)

文部科学省「学校保健統計調査」(平成30年度)より

 

また、世界的にも近視が社会問題化しています。特に東アジアでは先例の無いほど近視が急増しており、10代の近視割合は80%以上とも言われています。2)

東アジアにおける近視患者の急増

 

その原因としては、ライフスタイルの変化です。先ほど述べたように、多くの国々の子供たちにおいても、読書、最近ではパソコンやスマホの画面を見る時間の多さが影響しているようです。

屋外で過ごす時間の長い子の方が、近視の進行が遅いことは以前から報告されています。それは、遠くを見る機会が多かったり、最近では日光に含まれる一部の光(バイオレットライト)が近視進行を抑制するEGR1遺伝子に作用するというような研究もあります。3)

近視の進行は、遺伝的要因と環境的要因が言われていますが、急激な増加を考えると、環境的な要因も大きいようです。つまりは、先天的なものとしてあきらめるだけではなく、何か手立てをすれば進行を防ぐことも可能であると言えるでしょう。

 

当院でも、視力回復を目的に鍼灸治療を受けに来られる方もおられます。「眼鏡やコンタクトで矯正すれば済むのでは?」と思われるかもしれませんが、裸眼視力が必要な職業もありますし、子どもの視力回復には、親の思いもあります。

近視がさらに進行し強度になると、将来、黄斑変性症、緑内障、網膜剥離等が起こるリスク、失明のリスクも高くなると言われています。2)

幼い頃からのパソコンやスマホの利用で、これまで以上に眼に対する負荷がかかっており、将来に対する「不安」。 偽近視(仮性近視)のように一時的な状態、改善するのであれば、治療を施したいという「親心」も大きいでしょう。

 

そんな近視に対して、鍼灸治療の報告や研究はこれまでも多くありました。よく「鍼灸は何に効くか?」として示される、WHOの鍼の適応症49疾患の一つにも近視は含まれています。しかしこれも1979年に示されたもので、医療も日々進歩していますので、それをいつまでも信じているのも問題でしょう。

その後も、鍼灸治療による近視治療に対する研究もいくつか見つけられます。いずれも視力が回復する肯定的なものが多いですが、しかし現在の信頼性の高い報告としては、コクラン・ライブラリーによる「小児の近視に対する鍼療法」があり、「鍼治療で近視進行を遅らせる効果を示すエビデンスを提供することができなかった 」とあります。4) その中の課題として、鍼治療とプラセボと比較すること、他のタイプの鍼治療が調査されることなど、一般的に鍼灸の効果を示す上でネックとなる点が上げられています。これらがクリアされていけば、鍼灸も近視治療の一つとして認められるようになるかもしれません。

また、遺伝性も含んでいる近視に対しての治療効果を表すことが難しいのかもしれません。そもそも近視進行の明確な原因も明らかにされていません。ただその中でも、偽近視や仮性近視とも呼ばれる状態、一時的な悪化を食い止めるという意味では、鍼灸にも役に立てることはあるかと思います。

(次に続く…「子どもの視力回復」)

 

  1. 文部科学省「学校保健統計調査」(平成30年度)
  2. Elie Dolgin. The Myopia Boom. Nature. 2015.
  3. Torii H, Kurihara T, Seko Y, et al. Violet Light Exposure Can Be a Preventive Strategy Against Myopia Progression. EBioMedicine. 2017. Feb;15:210-219.
  4. Acupuncture for slowing the progression of myopia in children and adolescents. Cochrane Systematic Review – Intervention Version published: 07 September 2011.

帯状疱疹後の痛みがつらい時

 神経ブロックもいまいち、薬も効かない、副作用も心配、服が擦れるだけで痛くて眠れない…

 そんな帯状疱疹後の痛みでつらい方の来院が続きました。時期的には少ない(夏に多い ※)らしいですが、これからも季節の変わり目、体調も崩しやすいので、今後なられた方のために。

帯状疱疹が出た時

 まずは、帯状疱疹が発症したとき、より瘢痕を小さくするために、より早期に炎症を抑えること(抗ウイルス剤治療)も大切です(発疹72時間以内に開始できれば合併症、後遺症を残しがたいとされています)。

 しかし、治療が遅れてつらい痛みが残ってしまった方も、大丈夫です。そんな帯状疱疹後の神経痛と呼ばれる痛みに対して、鍼灸が役立ちます。

帯状疱疹とは

 帯状疱疹とは、神経節に潜伏していた水ぼうそうのウイルスが再活性化し、皮膚に帯状の水泡ができることを言います。免疫力が低下したとき(高齢、過労、大きなストレス、悪性腫瘍、抗がん剤・免疫抑制剤治療時など)に、発症することが多い疾患です。高齢化や水痘患者の減少(免疫のブースター効果の減少)もあって、年々増加傾向にあるようです。

 一見、虫刺されや他の皮膚炎と間違うこともあります。特徴は、身体の片側だけで、皮膚症状の前にピリピリやチクチクするような痛みが出るようです。部位は、胸から背中(肋間神経沿い)、顔(三叉神経)、手足に出ることもあります。

 問題は、その後に残ってしまう言わゆる「神経痛」と呼ばれる後遺症です。抗炎症薬も効きません。帯状疱疹の炎症がひどいとき、より重症難治化しやすくなります。QOLが著しく低下することもあります(※)。

 部位的には顔が残りやすくなります(三叉神経領域)。中でも、ハッチンソン徴候といって、鼻の先端に皮疹が生じた場合、眼病変の合併頻度も高くなります(鼻毛様体神経領域)。

 ただ、「神経障害性疼痛」と分類される痛みも、それが神経の痛みなのかは疑問です。

帯状疱疹後の痛みに鍼灸

 この帯状疱疹後神経痛(PHN)に、鍼灸は効きます。鍼で皮膚の歪みを取ることで、痛みの原因を取り除きます。つまり「神経痛」ではなく、「皮膚の痛み」だと考えています。ただ、痛みも慢性化してくると、中枢性の問題も出てきます。他の痛みと同じく、より早くに鎮痛させることは大事です。

 さらに、痛みはその部分だけが原因ではありません。瘢痕部の皮膚だけでなく、痛みをかばう様にして出た筋肉の痛み、反射性に現われる痛み、さらにそこに影響を与える同じ神経領域の治療もできればより根本治療もできますので、やはり全身治療が効果的かと思います。

 

※ 

https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2433-iasr/related-articles/related-articles-462/8234-462r06.html

NIID 国立感染症研究所
「帯状疱疹の兵庫県内における30年間の動向把握から見えてきたもの」