帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹とは?

水痘・帯状疱疹ウイルス、いわゆる水ぼうそうを起こしたウイルスによって起こる病気です。水ぼうそうは治った後もウイルスは消えず、全身の神経節に潜んでいます。免疫力が下がったときに再活動して帯状疱疹として発症します。通常身体の片側にだけ、特定の知覚神経に沿って赤い発疹が出て、水ぶくれ、かさぶたとなります。

つらいのは、その後に残る痛みです。病院での治療目標も、疼痛のケアです。鎮痛剤やステロイド、三環系抗うつ薬などもよく使われます。

 

帯状疱疹後の神経痛?

帯状疱疹は、ウイルス感染があって発症します。水疱はやがて消えますが、その後に残る痛みが問題です。「風が吹くだけで痛い」とか「服がすれるだけで痛い」など、その痛みは強烈です。この痛みは回復期に発症し、部位も局所的であることから、この時期の痛みは、ウイルスが直接の原因ではないと思われます。

このような鎮痛剤の効きにくい痛みに、鍼灸治療が有効です。この痛みは、瘢痕が皮下組織まで達し、皮膚に歪みが残ることで、常に痛みの感覚受容器が敏感になっていると考えます。したがって、よく言われるように発症後の速やかな対策が、歪みを抑え、痛みも残りにくくします。皮膚表面の歪みをとることができれば、痛みは取り除けます。

 

肋間神経痛・三叉神経痛

知覚神経の走行上に痛みを伴い、顔に出た痛みを三叉神経痛、肋骨に沿うように出た痛みを肋間神経痛とも呼びます。名前からして神経が悪いようですが、坐骨神経痛などと同様、神経に問題があるよりは、その神経のアンテナの先に問題があるようです。その先とは、皮膚や筋肉です。だからそこに鍼をすることで、痛みを抑えられるのです。「神経痛」という部類に入りますが、神経の損傷よりは皮下組織に問題があると考えます。

 

顔面神経麻痺(ラムゼイ・ハント症候群)

帯状疱疹ウイルスの感染により、耳たぶ、外耳道に水疱ができ、前庭神経が侵されると「めまい」に、蝸牛神経が侵されると「難聴」に、顔面神経が侵されると顔面神経麻痺になることもあります。(詳しくは、 顔面神経麻痺

 

帯状疱疹後神経痛の鍼灸治療

神経ではなく、皮膚を施術します。瘢痕(キズあと)の下をうすく透かすような鍼をします。痛みがひどい場合は、そのまわりから攻めていきます。皮膚のゆがみが取れれば、痛みは軽減します。

また、身体は痛みを感じると、血行が悪くなります。そうなると、キズの治癒も遅くなります。鍼灸は炎症を鎮めることに対しても効果的で、帯状疱疹の出た部分の体液循環をスムーズにすることでキズの改善も早くなります。痛みを抑えて、治癒力を高めます。

また、水痘(水ぼうそう)は、基本的には一生に1回の発症です。そのときのウイルスが体内に潜んでいて、後に帯状疱疹を起こすことになります。帯状疱疹は、場所が変わって何度か出てくることもあります。どんなときに発症するかは、免疫力が落ちているとき。本来ならば身体が打ち勝てるウイルスですが、疲れがたまっていたり、体調が悪いとき、ウイルスに負けてしまいます。だから体調の崩しやすい季節の変わり目などは要注意です。