顔面神経麻痺

まぶたが閉じずシャンプーがしみる

口元から水がこぼれ、うがいができない

笑顔がひきつってしまう

よく見える顔のトラブルは、気持ちにも影響してきます。

後遺症が残らないように早めの対策が効果的です。

時間が経って残る違和感も、軽減することがあります。

 

顔面神経麻痺とは?

顔面神経は、顔の表情を作る筋肉(表情筋)を動かすはたらきがあります。この顔面神経が障害を受けると、自分の意思で筋肉を動かすことが困難になり、麻痺が現れます。帯状疱疹ウイルスが原因のラムゼイハント症候群や、原因不明のベル麻痺(多くはヘルペスウイルスが関与)と呼ばれるものがあります。

この顔面神経は、耳の下の大きなリンパ節の近くを通っているので、リンパの腫れなどにより神経幹は圧迫され、麻痺を起こすことがあります。(※ このように圧迫で麻痺しやすい神経は「運動神経」です。痛みなどを伝える「感覚神経」は、簡単に麻痺を起こしません。痛みを起こすことも考え難いことです。)風邪などをひいてリンパが腫れることにより、症状が悪化することがよくあります。よって、この症状には、顔面神経付近の皮下組織へのアプローチが対策になってきます。その周辺の組織に原因があります。

 

顔面神経麻痺の症状

鍼灸治療の適応となるのは、末梢性の顔面神経麻痺になります。顔面神経は左右の脳幹(橋)から内耳道、中耳腔を通って顔面に出ています。その伝導路の途中で障害を受けると、そこから先の部分が麻痺していきます。障害部位が脳幹から遠いほど、麻痺は軽くてすみます。

① 顔面筋のみの麻痺
② 顔面筋麻痺、唾液分泌、舌前方 2/3 の味覚障害
③ ①と②の症状と、聴覚障害が現れる
④ ①と②と③の症状と、涙分泌障害

 

中枢性の顔面神経麻痺

脳幹より上位の麻痺。脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって起こります。顔面部以外にも片麻痺など四肢の神経症状を伴うことが多く、激しい頭痛や吐き気を伴うこともあります。また、顔の麻痺も、下半分だけの部分麻痺や、話が上手くできないなど末梢性に見られない障害があり、この場合は脳血管障害等を疑いますので神経内科や脳外科の受診をお願いします。

 

顔面神経麻痺の後遺症

顔面神経の発症から、自然治癒も十分考えられます。しかし、麻痺は時間が経てば経つほど改善しにくくなり、後遺症も残りやすくなります。神経の再生不良による後遺症は多々あります。病的共同運動(顔面神経の交差)、ワニの涙(鼓索神経、大錐体神経の混同)、アブミ骨筋性耳鳴り(アブミ骨筋神経への再生不良)などがあります。

それらを防ぐためには、神経再生を早めるのではなく、神経の過誤再生を防ぐことが重要です。正しいリハビリや早めの鍼灸治療の開始をお勧めします。

 

顔面神経麻痺の鍼灸治療

顔面神経麻痺は、発症後の対策が早ければ早いほど回復も良く、後遺症などが残る確率は低くなります。神経麻痺を起こしている原因(炎症と浮腫)を速やかに取り除くことが大切です。弱った神経、細胞に対する循環を改善し、神経の変性を食い止め、回復を早めることが後遺症を防ぐことになります。

ただ、顔面神経麻痺の発症から時間がたち、後遺症が残ったかに思えた症状も、良くなる例はあります。末梢の神経は再生しますし、コリ固まった筋肉を緩めることは鍼灸治療の得意とするところです。麻痺の反対側の筋肉に、負担がかかっていることもよく見受けられます。時間がたってしまったからもう無理だとあきらめずご相談ください。コリが取れるだけでも、顔の表情が良くなり、QOLも上がります。