スポーツ選手にとって、ケガの予防と体調管理がテーマです。
プロ選手にとっては、ケガは致命的です。
鍼灸治療は、ケガをしてしまったとき、ケガを未然に防ぐ予防として役立つことができます。
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スポーツ界での鍼灸師の活躍
鍼灸治療がスポーツ選手にも取り入れられるようになってきました。鍼灸の即効性や、利便性、薬を使わない安全性などが認められるようになってきたのでしょう。プロ、アマ問わず、鍼灸師の活躍をよく聞くようになりました。
スポーツ選手に対する鍼灸治療の効果として、疲労回復、コンディションの向上、ケガの予防と対策が、あげられます。もともと鍼灸治療というものは、自己治癒力や自己回復力といった、身体が持っている力を「引き出す」もの。与えるものではないので、その限りはあります。でも、スポーツ選手である以上、アスリートであればあるほど、そのポテンシャルは大きく感じます。
スポーツでの鍼灸の可能性
具体的な作用としては、
・血管拡張・透過性の亢進による細胞の活性化
・リンパ球や白血球、副腎皮質ホルモンの増加による免疫力向上
・全身性、分節性の痛覚抑制系の作動による鎮痛作用
・自原抑制により筋緊張の緩和による可動域の向上
などがその効果としてあります。
見える肉体だけでなく、身体の中の内臓に、気を使うこともポイントです。食べたものがしっかり消化されてはじめて、血となり肉となります。そこを怠っては、いい身体はできあがりません。これらとともに、運動機能(平衡感覚感覚等)の調節も見過ごせない部分であると考えます。
現役バリバリの人から、健康のためにスポーツをしている人も、いつまでも楽しく続けられるように身体のケアをしていきましょう。
スポーツ障害(ケガ)の予防
スポーツ選手にとって、最大の壁ともなりうるのは、ケガでしょう。ケガによって選手生命を絶たれることも少なくありません。スポーツにケガはつきもの。鍼灸には、疲労回復、痛みや筋緊張の緩和によって、運動のパフォーマンスを上げることができます。その効果を発揮できれば、ケガをしにくいようにはできます。
例えば、筋緊張(コリ)のある筋肉と、ほぐれている筋肉では、ケガの発生度合いも大きく異なってきます。緊張している筋肉は、それだけクッション性がなく、外力をより受け止めやすくなります。だから、筋断裂(肉離れ)や、靭帯損傷・断裂も起こりやすくなります。劣化した伸びないゴムと、新しいよく伸びるゴムをイメージすれば、どちらがいいかは歴然です。トップアスリートの筋肉は、とても柔らかいものです。それだけケガもしにくく、ケアもされているのでしょう。
鍼灸は、筋緊張をとるのが得意です。ケガしてからよりも、ケガしないように、身体のケアを行ないます。
スポーツ傷害(ケガ)の鍼灸治療
スポーツ選手にとって、ケガは避けたいものです。ただ、どんなに気をつけていても、なってしまうことはあります。相手と接触するようなコンタクトスポーツでは特にそうです。自分がいくら注意しても、避けても、相手によってもたらされることもあります。では、ケガをしてしまったときに、どう対処するか?
まずは、炎症性(キズ)のケガ。人には自然治癒力があるのでほっておいても良くなります。しかし、より早く良くして、より早く復帰したいものです。それには、その自然治癒力を上げることに他なりません。鍼灸の原理です。
他に運動の妨げになるのが、痛みでしょう。痛みがある間は安静にして良くなるのを待つ、という考えもありますが、痛みも長引けばやっかいなものになります。痛みを抑えて、ある程度動かしながら良くしていった方が、他の衰えも防げ、復帰も早くなります。動かないと、身体はどんどん衰えていきます。痛みを抑えることも、鍼灸の得意とするところです。
スポーツコンディションを上げること、疲労回復、ケガの予防と対策は、全て同じことです。
テニス肘・ゴルフ肘
当院によく来られるのが、テニスやゴルフでの負傷。特に、肘や手首の痛みを訴えられる方が多くおられます。そんな方に共通してよく診られるのが、肩こりなどの肩の不調。気にされていない人も多いですが、大いに関係があります。
きっかけは、運動時の使い過ぎもありますが、それだけではありません。首肩から腕の筋肉が慢性的に緊張している状態でくり返し衝撃を受ければ、その先の筋肉や腱に負担はかかります。柔らかい筋肉であれば、ショックを和らげてくれます。肘であれば、肩の動かし方もポイントになってきます。
腱鞘炎も同じです。筋肉が硬いとショックを吸収できず、腱に対する負担も大きくかかります。ひどいときには、断裂もあります。だから、痛みの出ている関節周辺だけでなく、その周辺の筋肉の緊張を緩めることも大事です。
さらに大切なのは、その筋肉がなぜ慢性的に緊張を起こしているのか? それを考えれば、原因からの根本対策が行なえます。
スランプの原因と対策
スポーツ選手に「スランプ」という状態があります。大会や試合に向けて体調管理を万全にしたつもりでも、思うように体が動かなかったり、結果が出なかったり。思うようにいかないのがスランプです。原因もわからないから、対処法もわからない、そこにこのつらさがあります。
それは、選手に気付かない部分に不調があるからだと考えます。自分自身にわからない、つまり脳を介さない反射を考えると、それは平衡感覚が考えられます。どんな運動、競技にも、バランス感覚、運動機能の調節が重要です。ここを整えることが、パフォーマンスの向上につながります。
そして、スポーツ選手といえば、肉体、筋肉にまず目がいきがちです。しかし、そんな肉体を作っているのは、内臓です。内臓がしっかりしていないと、必要なエネルギーや栄養も摂り入れられませんし、十分に発揮もできません。内臓をしっかりケアすることで、食べたものが血となり肉となり、筋力パワーの向上につながります。
もちろん、スポーツ障害にも鍼灸が有効なことは言うまでもありません。鍼灸治療では、こういった筋肉のケアと共に、呼吸器、消化器、循環器など体の中からのケアが行えます。スポーツコンディションは、筋力と内臓をセットにした調節を考えるべきです。
イチロー選手を支えたもの
「苦しい時期を支えたのは?」という質問へのイチロー選手の回答です。
「支えたのは、元気なからだじゃないですか。
心はポキッと折れたことがありますけど、
体がとにかく元気だったから、それに支えられた。
折れた心を体が支えていた。」
体調管理を万全にして挑んでいるイチローだからこそ、その言葉には重みがあります。目に見えない心を操るのは、難しいことです。でも、からだを整えることは、意識すればできることです。鍼灸治療も力になります。