パーキンソン病 Parkinson's Disease


からだが思い通りに動かない。

薬の副作用が心配。

これ以上ひどくならないか不安。

精神的にもまいってしまいます。

原因不明の難病でも、症状に対してできることがあります。 


パーキンソン病とは?

 パーキンソン病は、中脳の黒質や線条体にある神経細胞が減ることにより、ドーパミンが減少するために起こる病気とされています。ドーパミンは、運動を円滑に行うように脳からの指令を筋肉に伝える神経伝達物質です。この命令がうまく伝わらなくなるので、パーキンソン症状と呼ばれる運動の障害を生じます。

 4大症状としては、①安静時振戦、②無動、③固縮、④姿勢反射。特徴的な歩行として、小歩症、小刻み歩行、突進歩行、すくみ足歩行などもあります。転倒なども注意が必要です。決して歩けないわけでなく、歩行の調整が難しい状態です。目印があると上手く歩けたりします。運動症状以外には、仮面様顔貌、膏顔、丸薬丸め運動、前傾姿勢、小字症なども特徴的です。

 他にも、立ちくらみ、頑固な便秘、頻尿や残尿などの自律神経症状もあります。症状が進んでくると、意欲が低下したり、幻覚、妄想などの精神症状、認知症が認められることもあります。

 

寝返りと起き上がりの難しさ

 パーキンソン病の方を介助していると、寝返りと起き上がりが困難なことに気づきます。立ち上がってしまうと、歩行は可能です。歩くことができるのに、こんな簡単な動作ができないのと不思議に思い、誤解されることもあります。

 その原因には、平衡感覚が大きく影響していると考えます。地に足をつけ立ち上がれば、平衡感覚は他の感覚で補正されます。ところが寝ているとなると、平衡感覚に関わる情報が不足しています。特に仰向けの姿勢は、平衡感覚をマヒさせてしまいます。

 さらに、肘が伸ばしにくいことも原因にあります。パーキンソン病患者さんは、よく肘が屈曲していて、伸ばしにくくなっています。仰向けから起き上がるのには、肘を伸ばす動作が必要です。肘を曲げたままに固定して起き上がれるか試してみれば、その困難さがわかります。

 このような理由で、パーキンソン病患者さんには、寝返りと起き上がりが難しいのです。これらが理解されれば、本人の気持ちや周りの方の接し方、介助の仕方も変わります。起き上がることが億劫になれば、寝たきりが進みます。それは何よりも防ぎたいところです。

 

パーキンソン病の診断

 神経内科の専門医の診察が必要です。パーキンソン症状が2つ以上あること、片側からはじまっていること、進行していることから判断します。除外診断として、多いのは、薬の副作用や、脳梗塞や脳出血後に生じるもの(血管性パーキンソニズム)。他には、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、レビー小体病、多系統萎縮症があります。

 

パーキンソン病の一般的な治療

 治療の基本は、減ってしまったドーパミンを薬で補充します。ドーパミンそのものを飲んでも効かないので、体内でドパミンに変化するL-ドーパ(レボドパ)、ドーパミン受容体刺激薬などを使います。

 L-ドーパは、効果のある反面、長期的に服用すると効き目が低下し、さらに副作用(吐き気、便秘)が出やすくなります。とくに長期間飲んでいた人が急に飲むのをやめると、高熱、意識障害を生じる悪性症候群を発症する場合があり、注意が必要です。ドパミン受容体刺激薬は、効果や副作用の出方が異なります。主な副作用は吐きけ。その他、突発的な眠気、幻覚、妄想などが現れることもあります。

 そもそもドーパミンを補うのは対症療法です。なぜドーパミンが不足するのか、を考える必要があります。

 

パーキンソン病治療薬の副作用

 薬の副作用としてよくあるのは、胃腸障害、肝障害、めまい、ふらつき、眠気など。つらい主症状を抑えるためなら、なんとか我慢できなくもありませんが、幻覚、幻視、幻聴などの少し耐え難い副作用もあります。まわりの家族や介護者も心配です。元々なかったのに、治療のために薬を飲みはじめて出てくるとなると、かなり戸惑われます。

 しかし、薬を飲むのを止めると、パーキンソン病特有の症状が復活してまた困ります。「病気による主症状」か「薬による副作用」、どちらか選ばなければいけないのか?そんなことはありません。薬以外で症状を抑える方法を考えればいいのです。

 

パーキンソン病の原因

 黒質の変性だけでしょうか?あきらめなければいけないのでしょうか?パーキンソン病の症状は、常に見られるわけでなく、症状のでない調子の良いときもあります。つまり、黒質は完全に機能しなくなったわけではなく、何らかの原因により、ドーパミンの枯渇が起こっていると考えられます。よってこのドーパミンの枯渇を防ぎ、調子の良い状態を維持することが、この難病に対する治療法となります。

 そのドーパミン枯渇の原因として、平衡感覚(三半規管)の失調を考えます。パーキンソン病患者の症状に、空間認知の問題があり、身体が傾いていることがあります。平衡感覚の誤った情報は脳を混乱させ、ドーパミンの代謝に影響を与えます。上記のようなパーキンソン病の動作の特徴を注意深く観察すれば、その原因にも納得がいくかと思われます。平衡感覚の失調のように継続したストレスが、ドーパミンの枯渇、神経の変性へと導いているとも考えられます。

 

パーキンソン病の鍼灸治療

 パーキンソン病による運動失調の治療として、平衡機能の改善に着目した治療を行ないます。事実、パーキンソン病患者の内耳には悪い反応が出ていますし、内耳点への刺激により症状が改善することが数多く報告されています。

 また、筋緊張や、胃腸症状、自律神経症状が出ていることも特徴的です。それらの不快な症状をとることも、QOLを上げるために非常に大切なことです。鍼灸の全身治療がたいへん効果的です。

 難病として治らない病気とされていますが、鍼灸治療でその症状を緩和することは可能です。症状が抑えられれば、生活が変わります。精神の不安定も改善されてきます。薬を必要としなくなれば、副作用に苦しむこともありません。できる限り薬の量や期間が減らせることも重要です。治らない病気だからと、あきらめることはありません。