過敏性腸症候群 Irritable Bowel Syndrome


過敏性腸症候群とは

 過敏性腸症候群(IBS)は、検査をしても炎症や潰瘍など目に見える異常が見られません。でも、大腸の機能が正常に働かず、下痢や便秘をくり返し、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が出ます。現代医療は、この目に見えない病気を不得意とします。心因性とか、自律神経失調症とか言う名前で片付けられてしまうこともあります。そこにこの病気のつらさがあります。

 

過敏性腸症候群の原因

 腸のはたらきが悪いとなれば、腸に問題があると考えがちですが、それだけでもありません。腸の動きは、脳からの指令によっても左右されます。脳からの指令が乱れれば、腸の動きも乱れます。ただ、脳の指令も勝手に乱れるわけでなく、どこかに要因(不調)があります。脳の指令を乱す要因がポイントになります。

 IBSはストレスが原因であることは、よく言われます。患者さん自信に思い当たる節もよくあります。しかし、それを取り除いても、治らないことはあります。ストレスは一つに限らず、自覚できるものだけではないことがあります。自分では意識していなくても、ストレスとなっていることもあります。自分の身近にいる人の意見を聞くことが解決の糸口になることもあります。

 

過敏性腸症候群の鍼灸治療

 ストレスは、精神的なものだけではなく、肉体的なものもあります。特に脳へ直接影響を与えるストレスとしては、頭部にある感覚器への入力を考えます。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚、そして自分ではわかりづらい平衡感覚を疑います。それらの不調が脳の指令を乱す要因になります。

 そして、一度その症状を起こすと、また再び起こるのではないかと不安になります。それがまたストレスになります。悪循環になります。これを断ち切るには、やはりストレスを順に取り除き続けることになります。

 もちろん、腸の動きを考えます。第3の自律神経系とも呼ばれる腸管の神経叢。その動きは胃腸間で互いに調整し合っています。そこに注目すると便秘改善のヒントにもなります。

 

便秘のつらさ

 下痢だけでなく、便秘で悩まれている方も多くおられます。出るべきものが出ないのは、心配になってきます。便秘の原因でまず考えるのが、食事内容。食べる量が少なければ出る量(回数)も少ないですし、繊維質のものも足りなければ出にくいようです。また水分量が少ないと腸の動きが悪く便が出にくくなります。

 ただ、便意の我慢などによる排便習慣の乱れもあります。便意はあるのに息んでも出ないのは、直腸(肛門の手前)が詰まっている場合があります。この場合、食物繊維量を増やしたり下剤で便を降ろしても、排出できない便がどんどん詰まり、症状を悪化させるおそれもあります。管が詰まる痛みはひどく苦しいものです。そういった便秘は、排便習慣を見直す必要もあります。

 それでも改善されない、特に中年過ぎてのひどい便秘は、大腸がん、甲状腺機能低下症など他の疾患を疑うことも必要です。