頻尿・膀胱炎 Frequent Urination / Cystitis


すぐにトイレに行きたくなるので、睡眠は浅くなり、
出かけるのもとても心配になります。

おなかの痛みやおしっこをした後の痛み、嫌なにおい、
尿に血が混じることもあります。

他人や家族に相談しにくいのもそのつらさの一つです。 


頻尿の原因

 腎臓で作られた尿は、膀胱にためられます。それが、一定量になると、排出するように脳へ指令がいくのが、尿意です。しかしその膀胱内に炎症などがあると、膀胱粘膜を敏感にし、一定量たまっていなくても尿意を感じさせます。頻尿は、そんなに尿がたまっていないのに、何度も頻繁に尿意を感じさせます。

 過活動性膀胱ということもよく聞きますが、排尿筋をはじめ勝手に神経が活動することは考えられません。何かの信号があるからでしょう。尿検査などに現れない微小な炎症であっても、その信号は伝えられます。さらにその炎症がひどくなるといわゆる膀胱炎となります。

 

膀胱炎とは

 一般に「膀胱炎」といわれているほとんどが、細菌性(おもに腸内細菌の大腸菌)のものです。身近にある菌なので、免疫力が落ちた時に、発症します。膀胱炎になると炎症による傷で尿が濁ったり、血が混じることもあります。炎症ですが、熱は上がらないのが特徴です。身体の構造上の違いのため女性に多い疾患です。尿のたまる膀胱から、尿の出口までにある「尿道」の長さが違うからです。女性はこの尿道がたいへん短いため尿も漏れやすく、また、菌も入り込みやすく膀胱粘膜への炎症も起こりやすくなります。

 そしてこの菌がさらに上り、膀胱より上の尿管を伝わって腎臓にまで炎症が起こると、高熱の出る腎盂腎炎となります。これをくり返すと腎臓のはたらきが低下し腎不全に陥ることもあります。また、膀胱炎は再発の多い病気です。炎症による膀胱粘膜の状態が関係しているようです。そうならないためにも、膀胱炎は早めに治療し、菌に動じない強い粘膜を作ることが大切です。

 

間質性膀胱炎とは

 細菌感染を伴わない、慢性の膀胱炎症です。もちろん抗生物質を飲んでも治りません。激しい頻尿と、膀胱尿道部の痛みが特徴です(1時間で7回ということもあります)。原因は、ウイルス、細菌感染による膀胱壁損傷、自己免疫反応などいろいろ言われていますが、明確な原因は判明しておらず、治療法も確立されていません。内服薬による治療、膀胱内注入療法、水圧拡張、電気刺激法、外科的治療と、患者さんの症状や状態により様々なようです。

 トイレの回数だけでも十分なつらさですが、他にも、膀胱まわりの痛みがあります。骨盤周囲、下腹部、大腿部。これらの症状は、変化しますし、動作時に顕著であることから、筋筋膜性のものもあります。そういう痛みは鍼灸治療が効果的です。

 ただ、筋筋膜性疼痛も原因は内臓にあります。膀胱鏡検査によると膀胱内にも間質性膀胱炎に特徴的な点状出血やハンナー潰瘍が認められることがあります。膀胱をはじめとした下腹部臓器の環境を良くすることが根本治療につながります。

 

頻尿・膀胱炎の治療

 膀胱粘膜の炎症を鎮めることと、からだ全体の免疫力を高める治療をします。膀胱の反応点を治療し回復することで、膀胱の炎症を鎮めて尿の回数が確実に減っていきます。膀胱内の環境を改善し、また免疫力が高められるので、症状が出にくくなります。

 また、子供の夜尿症(おねしょ)も同様に考えられます。子供や、鍼治療が不安な方は、刺さないローラー針による治療を行ないます。

 また、膀胱の慢性炎症は、自律神経を介して、腰下肢の筋肉を緊張させるので、腰やひざの痛みを誘発します。そしてこれらの筋緊張は、血行を悪くし、冷えを起こすこともあります。冷え症の方に、頻尿をよく訴えられる方が多いのもこのことからです。したがって、腰や膝まわりのコリや痛みをとることも治療になります。

 

夜間頻尿

 夜間頻尿とは、夜間に排尿のために1回以上起きなければならないこと、それにより困っている状態のことをいいます。実際に治療対象となっているのは、夜間排尿が2回以上の人ですが、中には1時間ごとという方もおられます。

 横に寝たときに頻繁に尿意をもよおすようになるのは、態勢によって膀胱内の尿が膀胱粘膜内に触れる場所がかわるからでしょうか。炎症部分に触れれば神経は活動し、尿意を感じるようになります。

 その夜間頻尿は、短命という報告もあります。死亡率が高くなる原因としては、夜間頻尿に関連する基礎疾患(高血圧・糖尿病・脳血管障害・腎泌尿器疾患・睡眠障害)の影響や、夜間トイレに行くことによる転倒・骨折の影響も考えられています。ただの年のせいだとは見過ごせません。手当てすれば良くなるものです、治療しましょう。

 

尿漏れ

 尿のトラブルは、人に打ち明けるのに少し抵抗があります。その症状を気にしていると、何事にも消極的になってしまいます。しかし、それは決して恥ずかしいことではなく、手当てすれば治るものです。まずは、その悩みを打ち明けることから始めましょう。尿もれは、ほとんどが次の二つのパターンかその両方になります。

① 切迫性尿失禁

 我慢できない尿意が起こり、コントロールできずに尿もれしてしまう状態です。主に過活動膀胱が原因になります。わかりやすく言えば、膀胱が敏感になっている状態。膀胱が敏感になっていれば、すぐにトイレに行かねばと感じるようになるため、頻尿にもなります。鍼灸治療が効果的です。

②腹圧性尿失禁

 せきやくしゃみをした瞬間や、重いものを持ったりの力んだ瞬間に尿もれしてしまいます。出産や骨盤手術、尿道の位置の異常により、尿道を閉める筋肉が弱まることがあります。その原因に、膀胱を支える骨盤底筋の衰えがあります。緩んだ筋肉は、トレーニングで鍛えることもできます。(下記参照)

 ただ、尿をためることと、出すことのコントロールがうまくいっていないことにも原因があります。それは、意識してするものもありますし、無意識にコントロールされるものもあります。いわゆる自律神経と呼ばれるもので調節されています。それを乱すものにアプローチします。

 

骨盤底筋体操

 腹圧性尿失禁には、骨盤底筋群の衰えも関係しています。その骨盤底筋群とは、膀胱、子宮、直腸といった骨盤内臓器をハンモックのように支えているものです。普段気にするものではないですが、これも筋肉なので鍛えることができます。鍼灸治療は、緊張している筋をゆるめることには向いていますが、衰えた筋を元に戻すには、自分で意識して鍛えることもできます。「骨盤底筋体操」で検索すると出てきますが、いくつかまとめておきます。

1.まずはリラックスした姿勢(イスに座っても、寝ても、立ってもできます)

2.膣と肛門の周りの筋肉を締め、お腹の中に引っ張り上げます。

3.そして力を抜きます。

 それをくり返し、10回で1セット。1日10セット行ないます。ポイントは、どんな筋力トレーニングもそうですが、その筋肉に意識することです。骨盤底筋以外の筋肉に力が入ると、効果が下がります。お腹や、お尻、太ももの筋肉に力が入っていないことを確認しながら行いましょう。この体操で、女性の尿もれの多くが治るともされています。