11/23(祝)大阪でのイベントに出展します

東北の震災以降、被災障害者支援の一つとして、大阪でイベントが開催されてきました。
私たち「はり灸レンジャー」が現地訪問でお世話になるNPO団体が来られていることもあり、ここ数年は参加していました。
交流祭ということで一般客として参加させて貰っていましたが、今年は違います。
はり灸レンジャーとして、出展させて頂きます!

被災地で行ってきたように、鍼灸施術やセルフケアの方法やポイントをお伝えします。
セルフケアグッズの販売も行ないます。
被災地と違って今回は料金を頂きますが、体験価格となっています。
また、売上の一部を、被災障害者の支援として使われる「ゆめ風基金」へと募金もさせて頂きます。

当日は他に50以上ものブースが出展されています。
東北や熊本で、被災された団体も来られます。
グッズの販売、食べ物の販売もあります!
子ども向けのコーナーもあります!

ご都合のつく方、是非お越しになられてください!

 

ずーっと続けてく被災障害者支援イベント
第8回 東北⇔関西⇔九州ポジティブ生活文化交流祭

【日時】 2017年11月23日(木・祝)11:00~16:00
【場所】 大阪長居公園 自由広場

詳細は下記ホームページへ↓
http://tohoku-kansai.seesaa.net/

(時計台のある入口すぐの本部の隣のテントが、はり灸レンジャーです)

野球選手の鍼施術報道のその後

昨日はめずらしく夜テレビを付けると、めずらしく夜遅くに野球の試合が。
日本代表 × 韓国代表の試合がライブで放送されていました。
日本が9回裏で追いつき、逆転されるも、さらに劇的な逆転サヨナラ勝ち。
偶然にも面白い試合が見られて興奮気味でした。
そして気になっていた野球に関する投稿を。

 

ある野球選手が「鍼施術で神経麻痺を生じた可能性がある」という報道がありました。
数人の患者さんとの話題にも上がりました。
所属する勉強会や合宿でも議題に上がりました。

結論から言うと、鍼灸の針で神経障害は、あり得ないと私も思います。
(鍼の形状、神経の性状、麻痺を起こしたとする神経の位置、麻痺を起こす他の要因、症状出現と施術の時系列、過去の事例の検討などなど)
ただ実際その施術や経過を知るわけではないので、何ともすっきりはしませんでした。
それは多くの鍼灸師や整形外科医でさえも思っていたことではないかと思います。

 

それを代表するかのように、鍼灸団体等が連名で、9/21に球団側へ公開質問状を送っていました。
(その診断に至った医師や、鍼施術を行なったトレーナーに対する質問など)

全日本鍼灸学会HP
「プロ野球選手への鍼治療による長胸神経麻痺に関する報道について」

毎月発行される鍼灸の専門誌でも、特集が組まれていました。

医道の日本HP
「2017年11月号 緊急報告 鍼施術報道の検証」

そして先週 11/8に、その質問に対する返答が球団側からもありました。

全日本鍼灸学会HP
「はり治療による長胸神経麻痺に関する報道についての照会に対する読売巨人軍の回答について」

この回答からは、どういった施術を行なったかは、依然わかりません。
質問に対する十分な回答とは言えず、まだすっきりはしませんが…
鍼治療の有効性を認めている内容にはなっています。

 

今回の騒動に思ったのは、言葉の捉え方と報道の影響力でしょうか。

最初の報道では「鍼治療によって引き起こされた『可能性が考えられる』」ということでした。
それは確率が0でなければ、そういう言い方でも間違いはありません。
(万が一でも、0と断言できないから、こうして物議にもなったのでしょう。)
医師も可能性の話を言っただけに過ぎなかったのかもしれません。

ただ、それがこのように報道に取り上げられてしまうと、これだけの人々に影響も与えてしまいます。
普段から鍼治療を受けている人は、不安に思うことは少ないかもしれません。
しっかり説明ができれば、心配に思うこともありません。
ただ鍼灸を知らない人が、この最初の報道だけを聞いてしまうと「鍼は怖い」ともなるのです。
さらに、その後の球団側からの鍼治療に対する好意的な回答については、あまり取り上げられなかったりもするのです。
(実際、最初の報道を知っている患者さんも、その後のことは知りませんでした。)
だから、この文章を書きました。

鍼灸は、怖いものではありません。

認知症の鍼灸治療

私たちが所属する反応点治療研究会では、毎月の関西勉強会があります。
開業や勤務されている先生方が集まり、症例報告などが行なわれています。

今月は、私(院長)の担当で、認知症の治療について発表を行ないました。
良い治療効果が出ていることもあり、結構いろいろ調べもしました。
こちらでもまずはその「認知症に対する鍼灸治療」について、ご紹介します。

先日のブログでも投稿しましたが(「H28年の国民生活基礎調査」)、これからの高齢化社会を迎えるにあたり、認知症対策は他人ごとでは無くなってきています。

長生きするようになれば、認知症になるのは、しょうがないことでしょうか?
しかし、高齢化が進んでいる欧米では、認知症の有病率が減ったという研究結果も増えています。※1,2
その理由としては、生活習慣病の改善、教育水準の上昇などが言われています。
(途上国で糖尿病の増加率が著しく高いこともあります。)
統計からは何が要因かは明確にされませんが、対策ができるものではあるのでしょう。

また、脳の典型的な変化は何十年も前から始まることは言われています。
アルツハイマー病の原因としていられるアミロイドβなどの蓄積も40歳代頃から起こり始めると考えられています。
つまり、「予防」が一つのテーマとなっています。

 

その認知症発症の要因となっていると考えられているものに、高血圧と糖尿病があります。

高血圧は、動脈硬化を引き起こします。
脳内の血管の梗塞が、脳の働き、認知機能にも影響します。

継続して鍼灸治療をしていると、高かった血圧が低下していくことはよくあります。
(交感神経活動の抑制、末梢の血液循環の改善でしょうか。)

また、先月の鍼灸学会でも紹介されていましたが、鍼灸刺激が、脳内のアセチルコリンを増加させ、脳内血流を増加させる効果があるという研究もあります。

大脳皮質におけるコリン作動性血管拡張系:鍼治療と老化の影響」※3

「頬および四肢(特に前肢・後肢)への鍼 or 灸刺激が、体性求心性神経(Ⅲ,Ⅳ群)を介し、脳内のマイネルト基底核に作用し、コリン作動性の血管拡張系を活性化する」とあります。
ラットでの研究ではありますが、老齢ラットでもその効果は見られています。
認知症を発症した高齢者にとっても、期待できる結果ではないでしょうか。

 

そして、現代病とも呼ばれる糖尿病です。

糖尿病患者における脳血管性認知症発症の相対危険度は2倍、アルツハイマー病の危険度も1.9倍、中でもインスリン治療を受けている糖尿病患者ではその危険度が約4倍にまで上昇するという結果が出ています。(Rotterdam Study)
日本の久山町調査でも、脳血管性、アルツハイマー病、どちらも2倍近くの危険度が報告されています。

糖尿病と認知症の関係は完全には解明されていません。
しかし、糖尿病による合併症の多くが血管障害であることから、高血圧と同様、脳内の循環障害も十分考えられます。
また、インスリン分解酵素にアミロイドβの分解作用があることや、インスリン抵抗性により脳内での糖代謝に変化が起こることも言われています。
インスリン抵抗性改善薬や、脳内へのインスリン移行が顕著な点鼻インスリン療法が、効果をあげているそうです。
アルツハイマー病は、脳で起こる糖尿病なのではないかとも考えられており、「3型糖尿病」と呼んだり、「脳型糖尿病」として認識もされているそうです。※4

この糖尿病に対しても、鍼灸治療にできることがあります。
血管拡張作用による合併症対策、膵臓反応点にも直接アプローチします。

高血圧、糖尿病といった疾患への対策をする観点からも、鍼灸治療は、認知症に対して大いに役立ってくれそうです。

 

では、その認知症患者に対する鍼灸治療の研究はないのでしょうか?

中国の文献ですが、ありました。

アルツハイマー病患者の鍼治療の有効性と安全性:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ分析」※5

(・「ランダム化比較試験」(RCT)
=2つの群(治療群(治療を行う群)と対照群(治療をせず観察のみの群))に分ける際に無作為に分けている研究。
・「系統的レビュー」
=文献をくまなく調査し、RCTのような質の高い研究のデータを、データの偏り(バイアス)を限りなく除き、分析を行うこと。
・「メタ分析」
=「分析の分析」を意味し、統計的分析のなされた複数の研究を収集し、それらを統合したり比較したりする分析研究法。)

つまりは、いくつかの研究を分析に分析を重ねた結果、

・6つの試験結果から、鍼治療が薬物よりも優れていること(MMSEスコアの改善)が示された。
・3つの試験結果から、鍼治療とドネペジルの併用が、ドネペジル単独より有効であること(MMSEスコアの改善)が示された。

ということらしいです。
全て中国国内の研究で、対象年齢や治療期間のバラつき、それぞれの治療や研究を検証したわけではないので、何とも言えませんが…
(治療点(ツボ)は、百会、足三里が最もよく使われ、他、血海や頭皮のツボなど。)

 

前述した日本での研究と併せても、鍼灸(刺激)が、認知症に対して何らかの好影響を与えてくれそうです。

では、当院での実際の認知症患者さんへの鍼灸治療の効果はというと、
それはまた後日に。

(しばらく続けます)

 

※1 A Comparison of the Prevalence of Dementia in the United States in 2000 and 2012
KM Langa, et al. JAMA Intern Med 2017;177: 51-8.

※2 A two-decade comparison of prevalence of dementia in individuals aged 65 years and older from three geographical areas of England: results of the Cognitive Function and Ageing Study I and II
FE Matthews,et al. Lancet 2013;382:1405-12.

※3 Cholinergic vasodilative system in the cerebral cortex: effects of acupuncture and aging.
Uchida S. J Acupunct Meridian Stud. 2014 Aug;7(4):173-9.

※4 糖尿病合併症としてのアルツハイマー病

※5 The effectiveness and safety of acupuncture for patients with Alzheimer disease: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Zhou J, Peng W, Xu M, Li W, Liu Z. Medicine (Baltimore). 2015 Jun;94(22):e933.

 

より本質的な治療を

先日の鍼灸学会で感じたことは、鍼灸と一般医療との違いです。
(「鍼灸」学会とあって、鍼灸に肯定的です。)

日本では、「西洋医学」主体の医療となっています。
それは「病気」に対する治療が主になり、いわゆる対症療法も少なくありません。

例えば、高血圧。
血圧が高いから、それを下げる薬(降圧剤)を飲むことになります。
数値が下がると、治ったように見えますが、そうでしょうか?
身体は必要があって血圧を上げていたと考えたら、薬で下げるとどうでしょう?
また、血液の勢いが弱まれば、他に不具合が出てきてもおかしくありません。
よく臨床研究のアウトカムとして出される「死亡率の減少」もありますが、死ななければいいものでしょうか?(命に関わらない他の病気は?)

風邪のときは、どうでしょう?
発熱により免疫機能が上がりますが、解熱鎮痛剤は、熱と痛みを和らげてしまいます。
しかも熱と痛みが楽になれば、休まずに、無理をしてしまいます。
治すことと反対のことをしてしまっているとも言えます。
薬の種類や、場合によっては、脳炎・脳症を引き起こす可能性もあります。
抗生剤の多用で、耐性菌を増やしてきた現状もあります。

なぜ、血圧が高くなるのか?
なぜ、発熱しているのか?
なぜ、そこに痛みが出るのか?

鍼灸は「人」に対する治療です。
反応点治療では、痛みの出る原因にも注目します。
どちらかと言えば、そのなぜ?に注目した、本質的な治療と言えるのでしょう。

それでも、ついついその患者さんの訴える症状やつらさをどうにかすることに力が入ってしまいます。
そして、対症療法的にそのつらさだけを取っていくことの方が簡単だったりします。

でもそのつらさが、患者さんにとってどういう意味のあるものか?
それには、衣食住といった環境要因、そして遺伝子解析が進むこれからは遺伝的要因なども、考えられなければいけないのでしょう。
まだまだ知らない、知られていないことも多いものです。

「今、ここに」も大切ですが、目先のことだけでなく、これからのことにも目を向けられるようにしたいと思います。
病気にならないように「予防」ができるように。

一般医療よりは、時間をかけて、お話を聞くこともできる鍼灸治療です。
(お話よりも身体に出たサインが正直なこともあります。)

一歩踏み込んだところまで治療できるように、もっと勉強が必要だと切に思いました。

 

世界に誇る日本鍼灸

すっかりご無沙汰してしまいました。久しぶりの投稿です。
先週末、全日本鍼灸学会にいってきました。(院長)
毎年開催されていますが、今回は研究会の後輩の発表もあり、久しぶりの参加です。


(行きの飛行機にて。富士山が見えました。)

今学会のテーマが、この記事のタイトルの通りです。
鍼灸は中国の発祥ですが、日本独自にも発展してきました。
その日本鍼灸に対する思いが伝わってくるような内容でした。

例えば、日本式の方が、よく「触れる」ということ。
決められた経穴(ツボ)があって、ただそこに鍼やお灸を施術するのではありません。
人の身体に触れ、その人の反応点(治療点)を感じ取って、治療をします。
その「触れる」ことにも意義があり、科学的にも検証されてわかってきていることもあります。
(ただ触ればいいというわけではありません。)

日本独自と言えば、鍼管(しんかん)を使った施術もそうなのです。
盲目の人にも使いやすいように刺鍼するときに痛みが出にくいようにもなっています。
日本人の繊細さや器用さ、相手を思う気遣いなどが、日本鍼灸の発展につながっていると思います。

また、東洋医学(鍼灸)と西洋医学の比較もありました。
西洋医学の優位な点は多々あります。
ただ、より本質的な治療としては、東洋医学でしょう。
それは疾患に注目する対症療法ではなく、なぜその病に至ったのか?を考える点にあると思います。
死を見つめる医療ではなく、「生を見つめる医療」とも呼ばれていました。

他にも鍼灸の最新の研究はもちろん、ips細胞技術や遺伝子発現の多様性など、興味のある話が満載でした。
鍼灸は、身体全体を注目することから、その分野も多岐にわたります。
基礎研究から、痛み、運動器・スポーツ、内科・婦人科領域、難病、癌治療、そして教育や古典などなど。
それを2日間に詰め込むわけで、内容も濃くなります。

ちなみに、今年の学会会場は「東京大学」でした。
今回、はじめて足を踏み入れました。


(赤門)


(安田講堂)


(図書館)

立派な建造物と大きく育った木々の様子から、その歴史を感じました。
そのままずっと居たくなるようないい雰囲気でした。
(広い構内を革靴で歩き回り、足は痛くなりました。)

東京に行った友人とも出会い、刺激になりました。
これからまた臨床に生かしていきたいと思います。
 
 

A journey into the Science of Mind Over Body

「病は気から」なんてことは、重々承知です。
それを科学的にも知りたいと思うのは、理系頭なのでしょうか。
でもそれがわかるならば、気から病にもアプローチできるわけで。

とても読み応えのある本でした。
読書のあと、振り返ってメモ書きを残すのですが、その多いこと。

その中から患者さんや身近な人に向けてもいいと思ったものを、いくつか挙げたいと思います。
(治療師の方は、全文のご一読をおすすめします。)

p8
実体のない非物質的な治療が実際に効果を出している

p11
測定できる物質的なものに集中するあまり、心が持つ実体のない効果を、二の次にするようになってしまった

p73
ノセボ効果は、「周囲の何かがおかしい」という心理的なヒントによって引き起こされる
脅威、不安、不快なヒントが痛みや吐き気の症状を引き起こすことができるなら、安全で安定していると感じること、これから気分がよくなると信じることには、その逆の効果がある。

p162
「大切なのは、没頭すること」
脳が意識的に何かに注意を向けられる能力は決まっている。その能力は上げることも、下げることもできないが、注意を向ける対象を選ぶことはできる。
痛みに注意を向ければ、その感覚が強くなる。
しかし、何か他のこと -安全で、愉快で、遠くにあるもの- を考えれば、痛みは薄れる。
視覚イメージには、特に注意をそらす効果がある。

p191
どこで産むのであれ、精神的なサポートが非常に重要になる(お産について)

p206
要するに、私たちは人間であり、機械ではない。医療を受ける時には精神状態が重要となる。

p216
喫煙や飲酒という行動因子を制御しても、ストレスとなる日々の出来事によって特定のがんのリスクが高まる

p218
ストレスを感じると、人は病気になるだけではない。老化も進むのだ。

p224
特に子ども時代の環境は、その後の人生におけるストレスへの感受性に影響を及ぼす

p237
瞑想がストレスを減らし、心身の健康を向上させるという科学的な主張

p250
瞑想は「むしろ時間を与えてくれます。次々にやってくる無意味な思考を追いかけなくなる分、時間ができる」

p260
それは一時的な状態ではなく、瞑想は脳の物理的構造を変えられる

p270
社会的「つながり」が健康寿命のカギとなる

p276
まわりから拒絶されたり、疎外感を抱いたりすると、体に痛みを感じたときと同じように脳内のある領域が活性化する

p277
誰かと一緒にいても、相手から気遣われていないと思えば、孤独を感じる

p283
子ども時代に逆境にさらされると、成長途中の脳がストレスに敏感になる
さらに、エピジェネティクスによって、幼少期のトラウマ -特に厳しい社会環境- が生理機能に組み込まれる可能性もあり、のちに慢性疾患に罹る
幼少期に(あるいは胎内で)経験する逆境が、のちに炎症レベルを上げ、免疫系を脅威に敏感にするタグを遺伝子につけることはあり得る

p290
老化に伴うマイナス面ばかりに目を向け、プラス面には十分に目を向けていません。プラス面とは、人生で積み重ねてきた知恵と知識のことです。
高齢者のケアの仕方を変え、できないことを手助けするのではなく、その能力を活用するようにしたらどうだろう。

p348
高い目標を持っていれば、個人的な幸せが脅かされても、感じるストレスが小さくて済むと言う。たとえ自分が死んでも、自分が大切にしたものは生き残っていくから。
言い換えれば、自分は何か大きなものの一部だと感じていれば、日々の悩みに対処しやすいだけでなく、いつかは死ぬという、人間が抱える最大の恐怖心を和らげることができる。

p368
脳が生理機能の多くの要素を制御し、ホルモンや天然の鎮痛剤から、免疫系が持つ兵器まで、いろいろなツールが体に備わり、症状を和らげ、病気と闘っている。
ある基本原理がある。それは、怪我や病気で危機的な状態にあっても、日常生活においても、自分は安全で、気遣われ、状況を掌握していると感じていれば、体の調子がよくなるということ。
痛みが軽くなり、疲れにくくなり、病気をしなくなる。体のために機能する。

p385
体と心は絶妙に調和しながら進化し、あまりに完璧に統合しているため、片方から切り離し、別のものと見なすことはできない

といったところでしょうか。

原著や引用文献を調べたわけでもないので不確かなところもあるかもしれませんが、著書は Nature などの記者、編集者をつとめられていたということで、信用度は高いと思います。

最近注目されている、瞑想やマインドフルネス、MBCTについても取り上げられています。
それらを科学的に証明しようとしつつも、
「瞑想に二重盲検臨床試験を行うのは不可能」
とありました。

それは、鍼灸でも同じことが言えます。
偽鍼を用いて比較する研究もありますが、偽鍼でも(皮膚に刺激を与えることで)効くことも考えられますし、そもそもの治療ポイントが従来の経穴で、その人にとって相応しいものでないことも考えられます。
鍼灸とプラセボの効果を分けるのは、難しいものです。
だから、鍼灸の効果が、プラセボ効果であるとは言えません。

もちろん、そのプラセボ効果を、否定や侮ってもいません。
医学で「二重盲検臨床試験」が重要視されていることは、プラセボの効果を認めていることに他なりません。

鍼灸の効果とプラセボの効果、どちらも引き出せることが、何よりなのです。

 

 

インフルエンザとノロ対策

先週は、患者さんやそのまわりの方で罹ったとよく聞きました。その感染力から、流行りだすとまわりの方もハラハラします。でも同じようにウイルスにさらされても、発症する人、しない人、症状の軽い人がいます。医師や看護士さんはウイルスに触れていても、その都度ダウンはしていません。そのウイルスに対して、免疫を獲得しているからだと考えられます。

どちらもウイルスで、もちろん抗生物質は効きませんし、治す薬もありません。ワクチンも個人の感染を防ぐわけでなく、免疫がすぐ働くように重症化を防ぐようなものです。(それに当たりハズレもあります)

結局は、その人の「免疫力」というものが大事です。そのウイルスに触れないようにビクビクするよりは、自分の免疫力をしっかり上げて、強い身体を作ることが安心です。鍼灸には、その自己免疫力を調整する作用があります。まわりの免疫の弱い子どもや高齢者のためにも、まずは自分の免疫を上げて重症化させないことが、まわりの方へのやさしさにもつながります。

 

 

妊娠初期の鍼灸治療

「妊娠中は安定期に入るまで、鍼灸は受けてはいけない」

よく聞く話です。調べる限りそう言われることの発端は、鍼灸の古典にあるようです。有名な「三陰交」というツボは、「妊娠初期は堕胎(流産)させるツボ、安定期以降には安産のツボ」とされています。そんなことはあるのでしょうか?

胎児の染色体異常、人受精卵の免疫の脆弱性などから、「妊娠初期は流産する確率は高い」と今はわかっています。ところが、昔の治療は、経験則(自然観察)によるものです。妊婦さんを同じように鍼灸治療していても、初期には流産になりやすく、安定期以降は流産になりにくくなります。そういった経験から、同じツボであっても、「初期に治療すると流産に」、「安定期以降に治療すると安産に」となります。その前者の部分が取り上げられ、「妊娠初期は治療してはいけない」となったのでしょうか。

実際、妊婦さんの施術をしていても、三陰交のツボと呼ばれるあたりには反応点が見られます。それは、腓腹筋やヒラメ筋の反応点であって、妊婦さんに足のむくみやこむら返りが多いことからも、昔から治療点としたかったことも想像ができます。

最近の研究論文を調べてみても、妊娠初期の鍼灸治療が危険という所見は見つけられません。むしろ、それを否定する文献ばかりにあたります。※1

妊娠初期は、つわりや身体の変化などで、つらい時期でもあります。そういう時にこそ、何か対策をしてもらいたいでしょう。余計な心配をされることなく、安心して鍼灸治療を受けて頂きたいものです。

※1
The safety of obstetric acupuncture: forbidden points revisited
David John Carr
Acupunct Med 2015; 33 : 413-419 doi:10.1136/acupmed-2015-010936

 

 

嬉しいお知らせ

年末年始に、嬉しいおめでたいお知らせが続きました。
この1か月で、3人の患者さんが妊娠されました。

不妊治療を専門と掲げていない治療院としては、多いほうだと思います。
しかも皆さん「タイミング療法」です。
「人工授精」や「体外受精」に比べると、負担が少ない方法です。

一般的に年齢が40歳を越えると自然には難しいとされますが、検査で特に器質的な問題でもなければ、十分可能性があると感じました。
鍼灸院に訪れるのは、授からない原因不明な方々がほとんどです。
病院やクリニックで結果が出ないとなれば、鍼灸の出番です。
受精するかしないかだけの問題ではなく、身体を整えていくことに意義があると考えています。

妊娠しても、妊娠中のつわりや、出産後の育児でつらい思いをする方も見受けられます。
本来、幸せで楽しいことなのに、とてもお気の毒に思います。
そうならない為にも、妊娠前から、そして妊娠中にも定期的にケアされることが望まれます。
(妊娠中の針灸治療については、また改めて投稿したいと思います。)

妊娠の時期が同じであるということは、出産も同じ頃になります。
以前から引き続き、出産前の妊婦さんも通われています。
無事に出産されるまで決して安心はできませんが、今年は嬉しいお知らせが続きそうです。