日本アレルギー協会 市民公開講座のお知らせ

日本アレルギー協会 市民公開講座のお知らせです。

アレルギー週間のある春に毎年開かれていた公開講座が、本年度は秋にも開催されることになりました。

 

 

今回のテーマは『アレルギーとうまく付き合おう!』です。

9月9日(日)兵庫県民会館11階パルテホールで開かれ、講演は2部構成です。

 『子どものアレルギーとの付き合い方』
  講師:岡藤 郁夫 先生
  神戸市立医療センター中央市民病院 小児科 医長

 『ぜんそくー怖い病気?それとも怖くない病気?』

  講師:東田 有智 先生
  近畿大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 教授

Q&Aの時間も設けられています。

 

今年は3年ぶりに「喘息予防・管理ガイドライン」が改訂されました。
1990年代までは6,000例あった喘息志望者数ですが、2016年には1,454例まで減っています。
1998年から発刊された「喘息予防・管理ガイドライン」の役割が大きいようです。

アレルギーとの付き合い方、ひどくしない予防の仕方を学ぶことで日常の安心も増えます。
鍼灸などの根本的な治療に加え、日々進歩している医療も上手に取り入れたいものです。

市民公開講座は無料ですが、事前の申し込みが必要です。

日本アレルギー協会関西支部HP

の市民公開講座のベージより申し込みができます。
日本アレルギー協会関西支部ではその他にもアレルギー患者さんとご家族の為の講座も企画されています。
興味のある方はチェックしてみてください。

 

W杯が心臓に与える影響

前記事の「震災」に引き続き、もう一つ、心臓に与える非日常の出来事があります。
日本代表の活躍で盛り上がる4年に1度の「サッカーW杯」です。

「サッカーワールドカップにおける心臓血管イベント」※2

2006年ドイツワールドカップ大会開催中のミュンヘン在住者の心臓発作の件数について調べた論文です。
結論から言うと、ドイツ代表チームの試合があった日は、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症発作)の発症が、対象期間と比べて2.66倍多かったということです。
6月9日から7月9日まで開催され、2003年、2005年を比較対象期間としています。

試合のあった日がスパイク状に多くなっています。
詳しく見ると、予選リーグ3回戦では決勝進出が既に確定していたようで、それほど上がっていません。
決勝トーナメント1回戦もそれほど上がらず、対戦相手がスウェーデンだったこともあるでしょうか。
準々決勝のアルゼンチン戦、準決勝のイタリア戦で、かなり増加しています。
そしてその準決勝で負けてからの3位決定戦では、またそれ程上がっていません。
緊張感のある大事な試合で、より心臓発作のリスクがあるということです。
心臓に問題のある人は、注意して観戦せねばなりませんね。

次の日本 vs ポーランド戦も、決勝進出がかかる緊迫した試合になりそうです。
心配な人は、終わってからニュースで見るのもいいかもしれませんね。

 

※2 Cardiovascular Events during World Cup Soccer
Ute Wilbert-Lampen, M.D. et al.
New England Journal of Medicine ; vol 385: 475- 483, 2008

震災が心臓に与える影響

今週は地震の話題が尽きませんでした。
家族や親戚、友人に被害のあった方、また職場が大阪で影響を受けている方。
この辺りでも、阪神淡路大震災のことを思い出される方は多かったです。
平常に振舞っていても、何かしらストレスを受けていることもあります。
余震が続くこともありますし用心して、無理せず過ごすのもいいかもしれません。

そんな震災が、心臓に与える影響というものがあります。
ちょうど来月の勉強会で「心疾患」について発表があり、調べていたところ見つけました。

 

「東日本大震災と阪神・淡路大震災における心血管死亡率の比較 – 死亡診断書の大規模データ解析」※1

震災などの災害発生時に生じる、循環器疾患の増加はよく知られています。
それがよくわかるグラフがこちら。

スライドで少し見にくいですが、グラフ左が阪神淡路大震災、右が東日本大震災。
横軸は年月、震災発生時を矢印で指しています。
縦軸はその被災地域の心筋梗塞の関連死亡率を示しています。
共に、発生月には急増し、その後も震災の影響が続いていることがわかります。
(心筋梗塞の発症には季節変動がありますが、前年までの同月と比べることで、増加していることが読み取れます。)

地震の身体的・精神的ストレスに加え、避難生活による環境的な変化もその要因です。
食生活が変化したり、身体を動かせる環境でなかったり、通院しにくくなったり。
実際に経験したり被災地に行ってみると、それは身に沁みて実感します。

震災関連死と取りざたされるように、災害発生後も気に掛ける必要があります。
東北の震災ボランティアでも、忘れられない経験があります。
命に関わる循環器疾患、その影響力は軽視できません。

 

動悸、息切れ、左肩や背中の痛み、全身のむくみなど、いくつか気になる方は、病院へもお勧めします。
鍼灸院でも「心臓」反応点に注目して、治療に取り組んでいます。
心臓が気になる方は、ローラー鍼やせんねん灸、手でさするセルフケアもおススメします。

 

※1 Comparison of cardiovascular mortality in the Great East Japan and the Great Hanshin-Awaji Earthquakes - a large-scale data analysis of death certificates.
Takahashi J et al.
Circ J. 2016 Jul 25;80(8):1689-94. doi: 10.1253/circj.CJ-16-0644. Epub 2016 Jul 7.

黄砂・PM・花粉症の対策

 

今日、西日本から北陸で「黄砂」の飛来がありました。

 

花粉症は、「スギ」から「ヒノキ」へと変わってきました。
今年はその「ヒノキ」花粉が多く、都心では昨シーズンの43倍とか…
「ヒノキ」の方が症状を強く感じるのは、昨年のこの時期のブログに書いていました。

 

さらにおとなり韓国では、昨日、大気汚染「PM10」が原因でプロ野球が中止になったというニュースも。
ファンと選手の健康を考慮した決定だったそうです。

大気汚染物質は、花粉や黄砂よりも粒子が細かい為、からだの奥まで入り込みやすく、肺炎、肺がんなどの呼吸器疾患にもなりやすいと言われています。
また、粘膜をかいくぐって侵入してくるとなると、様々なアレルギー疾患の発症の引き金にもなると考えられています。

 

そんな息苦しい季節と環境に対して、鍼灸治療にできる対策は?

 


まずは、空気の入口、鼻・のど・気管に対するケアです。
ここの粘膜を潤わせて、しっかり防御機能が働くようにしておきます。
特に大気が乾燥しているときは、注意が必要です。


さらに、過剰な免疫反応を抑えます。
鍼灸治療ではこの根本治療を目指します。
最近いくつかサプリメントもあるように、腸内環境が免疫に関わると注目されています。
私たちも、アレルギー疾患の改善に、腸、肝臓あたりの反応点に注目しています。


そして、反射性に起こる、コリや痛みの緩和です。
目、鼻、咽、気管にある炎症は、頭、首、肩、背中あたりの筋肉まで影響を及ぼします。
頭痛、肩こり、寝ちがえ、背中の張り。
こういった症状に対して、鍼灸には即効性もあります。
それらの緊張をとるだけで、だいぶ楽に過ごせます。

 

この時期、鍼灸が本当に助かります。

風邪やインフルエンザ感染のサイン

風邪やインフルエンザの予防は、鼻、咽、内臓のケアです。

「風邪・インフルエンザ予防」

とは言いつつも罹ってしまうこともあります。
早めの対策もポイントですが、内臓の不調には気付きにくいものです。

 

 

しかし、風邪の引き始めに、首や肩コリ、頭痛を感じる方は多くおられます。
風邪は、入口であるノドから、鼻から、炎症を起こします。
その炎症が、神経を介して、頭・首・肩の筋肉を緊張させます。
その結果、頭痛や首、肩コリを感じるようになります。
身体の中の炎症よりも、表面の筋肉の痛みやコリを、伝える神経の方が自覚しやすいのです。

「風邪の引き始めの葛根湯」は、頭痛や肩コリを和らげる効能でも有名です。
つまり、頭頚部のコリや痛みを感じたら、要注意です。

風邪による炎症も、ノド、鼻で治まればいいですが、気管支、肺まで及べば、もっとつらくなります。
その炎症の信号は、背中や腰、呼吸する筋肉まで緊張させていきます。
さらに、咳が続くと腹筋もしんどくなります。
全身筋肉痛で、寝ているのもつらいくらい。
やはり風邪はこじらせないに限ります。

 

風邪の諸症状は、身体を休めなさいというサインです。
風邪を引いたときは、ゆっくり休んで身体が治してくれるのを待つのが一番です。

そうは言っても、家事や育児、仕事で休めないことも多いでしょう。
日常生活をおくりながらも、つらい症状をとりつつ、身体をより早く回復できるような治療を考えます。

どんなつらさでもそうでが、ひどくなる前の早めの対策(治療)が効果的です。

2018-01-26 | カテゴリー : 病気, 風邪 | 投稿者 : sorashiya

風邪・インフルエンザ予防

今年に入って、風邪やインフルエンザに罹られる人が増えています。
こんな季節に限って、入学試験や国家試験も多く、悩ましいものです。
今年も、受験生であったり、そのご家族の患者さんも多くおられます。
この大事な時期を、いかに予防して過ごせるか、気になるところです。

 

 

風邪、インフルエンザ、どちらも、鼻やノドから始まります。
そこで、菌やウイルスが入ってくるのを、いかに防げるかがポイントです。
防衛の第一関門で、外敵の侵入を防ぐことができれば、感染症は防げます。

鍼灸では、風邪やインフルエンザを予防するには、ノド・鼻を重点的に治療します。
ノド・鼻まわりの鍼やローラー鍼で、粘膜のはたらきを上げます。
(市販の風邪薬「早めのパブ□ン」も、ノドについた原因物質を出しやすくし、かぜ症状をやわらげる効能をうたっています。)

粘膜は乾燥にも弱く、低湿度環境下では、加湿やマスクして保湿することも効果的です。
こまめに水分補給するのも、咽粘膜の為に良いでしょう。

鍼灸治療ではさらに、弱っている内臓を探り当て、そこを補います。
特に、解毒作用や物質の分解代謝に大きく関わる「肝臓」、栄養分の吸収、さらに最近は「免疫」にも大きく関わると注目されている「腸」は、重要ポイントです。

それには、食事も大切なのでしょう。
季節の食材を、美味しくいただく。
サプリメントのようにある特定の栄養素だけを摂るよりも大事なことだと思います。

第24回アレルギー週間市民公開講座

こんにちは。市民公開講座のお知らせです。
日本アレルギー協会ではIgE抗体がアメリカの学会で発表された2月20日を「アレルギーの日」と定め、その前後1週間を「アレルギー週間」として、毎年、一般の方へ向けてアレルギー疾患への理解を広める活動をされています。

今年も近畿地方では2月に和歌山、滋賀、兵庫。
3月には大阪、京都、奈良で市民公開講座が予定されています。

アレルギー疾患についての説明や対策についての解説のあと、質疑応答の時間も用意されています。
講座内容は日本アレルギー協会関西支部のページから確認できます。

日本アレルギー協会関西支部
http://allergie-kansai.jp/

知ることで治療への不安が減り、より良い選択の助けになります。
市民公開講座は無料ですが、事前の申し込みが必要です。
興味のある方は是非参加されてみてください。

認知症と頻尿

前回「認知症の鍼灸治療」に引き続き、
今回は、認知症と頻尿について。

 

 

どちらも、高齢者に多い症状の為、同時に悩まれている方も多いようです。

「認知症」の薬に、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(アリセプト等)があります。
アルツハイマー型認知症では、脳内のコリン作動性神経の機能低下が起こっており、アセチルコリンが低下しています。
脳内のアセチルコリンを分解する酵素を阻害することで、コリン量を増加させ、認知機能を改善します。

「頻尿」に出される薬に、抗コリン薬があります。
膀胱周辺にはコリン作動性の神経が存在しており、排尿筋の収縮、括約筋・三角筋の弛緩作用により、排尿を促進させます。
その副交感神経亢進のアセチルコリンの作用を抑えることで、コリン量を減少させ、頻尿を改善します。

この相反する作用から、従来の過活動膀胱に対する抗コリン薬には、脳(中枢)へも影響を与えるものがあり、注意も必要です。

(最近の頻尿(過活動膀胱)の薬には、膀胱だけに作用するものや、上記と違う作用(交感神経を促進)で改善するものもあります。どちらの症状に対しても、併用できるお薬はあります。)

 

その抗コリン薬が、認知機能へ与える影響について。

「認知機能低下を誘発しやすい薬剤」というものが、認知症疾患治療ガイドライン※1 にも載っています。

睡眠導入剤、向精神薬などが上げられますが、抗コリン薬もあります。

その薬を止めれば治まる短期的なものもあるようですが、「長期的な抗コリン作用のある薬の使用で、認知症発症リスク増加」という研究※2 もあります。
「65歳以上の高齢者が、3年以上常用量の抗コリン作用のある薬の使用で、認知症のリスクの増加が生じる可能性がある」ということです。

この抗コリン作用の薬は多く、頻尿改善、下痢止め、抗パーキンソン、酔い止め等があります。
また、抗ヒスタミン剤も、副作用として抗コリン作用を持っているそうです。
とても多くのお薬が該当するので、注意は必要でしょう。

 

逆に、認知症薬が、膀胱へ与える影響も考えられます。

アリセプトのホームページ※3 には、
「副作用として、頻尿が8例/4429例(0.18%)が報告」
「頻尿の発現機序については、コリン作動性作用が影響する可能性」
ともあります。

確率は非常に低いですが、0とは言えないようです。

 

こういった薬の影響もあるので、おかしいなと思えば、医師や薬剤師さんに相談されてみて下さい。

 

この認知症患者さんの頻尿という症状は、少なくないようです。
記憶障害の影響で、トイレに行ったことを覚えていなくて、何度もトイレに行くこともあります。

周辺症状(BPSD)ととらえ、環境や接し方を変えることで、改善することもあります。
つまり何かしら理由があって、「頻尿」という行為につながっているということです。

例えば、トイレに行くことで、落ち着くことはあります。
何か不安を紛らわせるために、トイレに行くことも考えられます。
そのときは、その「不安」を対処することで、「頻尿」が治まることもあるのでしょう。

認知症の症状も、頻尿も、その人それぞれの原因があります。
いろんな視点で考えていく必要がありそうです。

 

※1 認知症疾患治療ガイドライン2010

※2 Cumulative use of strong anticholinergics and incident dementia: a prospective cohort study.
Gray SL. JAMA Intern Med. 2015 Mar;175(3):401-7. doi: 10.1001/jamainternmed.2014.7663.

※3 アリセプト(エーザイ) 第Ⅶ章 注意すべき副作用とその対処法

 

 

食物アレルギーについて

アレルギー学会感想つづき

食物アレルギーについて

最新の治療は「どう食べさせるか」が基本になっていました。
口から取り込み、腸内で抗体が作られることで耐性ができるからです。

具体的には必要最小限の原因食物除去。食物経口負荷試験で原因食物の食べても症状が出ない量を確認し、食べられる量は積極的に食べる。
3歳未満では6カ月ごとに原因食物に反応しているIgE抗体検査、6カ月から1年ごとに経口負荷試験をして食べられる物、量を確認していく。
(6才以上ではIgE抗体検査、経口負荷試験は1年から3年毎)

必要最小限の食物除去とは
1.食べると症状が誘発される食物だけを除去する。”心配だから”、“念のため“といって必要以上に除去する食物を増やさない。
2.原因食物でも症状が誘発されない、食べられる範囲までは食べることができる。
食べられる範囲“の量を除去する必要はなく、むしろ食べられる範囲までは積極的に食べるように指示することが望ましい。
(食物アレルギー診療の手引き2014より)

学会では症状が出る量を食べてしまった場合でも、その1回の負荷で耐性ができることもあると言われていました。

 

食物アレルギーは 秋冬生まれ、離乳食開始の遅れ、家族歴、環境アレルゲンの有無がハイリスクになるといわれます。

最近増えているのは果物アレルギーで、花粉症が関係する可能性が高いとのことです。

花粉症があると、交差抗原性といって、アレルゲンそのものでなくても似ている構造のあるものに反応して症状がでてしまうので、
カバノキ科ハンノキ属(ハンノキ)、カバノキ属(シラカバ)は、バラ科植物のリンゴ・モモ・サクランボなど、
イネ科とブタクサは、ウリ科植物のメロン、スイカなど、
ヨモギは、せり科植物のセロリ、ニンジンなどを食べるとアレルギー症状が出るのだそうです。(口腔アレルギー)

舌下免疫療法などの花粉症の治療をすることで、耐性ができ、上記のアレルギーも治る可能性も示されました。

 

また、皮膚や粘膜のバリアを強化することで皮膚や粘膜直下にいる免疫細胞の応答が減り、症状が出にくくなるのだそうです。

鼻の粘膜は腸などの粘膜と違い皮膚に近い構造を持つため、潤いやバリアを保つことで症状を予防できる可能性が高いそうです。
花粉症でも皮膚バリアの強化がポイントになりそうです。

食物アレルギーのハイリスクである秋冬生まれは、日照時間や日光に当たる機会が減ってビタミンDが不足すると食物アレルギーになりやすいという説もありますが、皮膚粘膜の乾燥でバリアが壊れたことも疑えます。

※バリアの強化は粘膜へのワセリンの塗布、症状が出ている場合にはステロイド塗布
(鍼灸での対策は、鼻粘膜の循環を良くして潤いを保ったり、粘膜細胞のターンオーバーをスムーズにしたり、酸素や栄養が患部に届きやすくなるので粘膜の強化につながります。)

 

食物アレルギーは乳児期の発症では治りやすいとも言われていました。
乳児期は皮膚粘膜も薄く、免疫細胞の発達も途上なので、症状が出るのも当たり前なのかもしれません。

アトピーや喘息がある場合は、重篤な症状を防ぐために、まず湿疹の治療、喘息の治療をしてから、食物アレルギーの治療に入るそうです。

学会では湿疹の治療そのものが食物アレルギーを減らすという研究発表もありました。
湿疹部で多く作られるリンパ球の好塩基球が腸管粘膜にある肥満細胞を活性化して症状が出る可能性があるそうです。

皮膚や粘膜の症状は食物アレルギーを増やす。
やはり皮膚や粘膜から入るとアレルギーになり、口から入ると耐性ができる、というのが基本のようです。

 

 

腸内細菌について

先日のアレルギー学会では基礎医学の研究成果と、臨床での研究、傾向についてなど講演がありました。
印象に残ったことをいくつか紹介します。

まずは腸内細菌について。

 

 

腸内細菌の働きは大きく「栄養」と「感染予防」です。

まず「栄養」ですが、腸に食物が入ると腸内細菌が食べて酵素を出し、その酵素が食物を吸収できる形に分解し、身体の栄養として取り込めるのだそうです。

そして「感染予防」ですが、無菌マウスの実験では、腸内細菌を持たないマウスは自身の免疫細胞が作られず、無菌室を出ると感染症にかかり、すぐに死んでしまうのだそうです。
細菌を取り込むことで初めて体を守る機能を発達させている、ということです。

母親から生まれるときの赤ちゃんの腸は無菌状態です。
口から入る細菌を少しずつ取り込んで腸内に住ませます。
帝王切開で生まれた赤ちゃんが、将来アレルギーになりやすいというデータもあります。子宮口から出る時に受け取るはずだった膣の菌を取り込めなかったことが原因ではないかと言われ、帝王切開で生まれたばかりの赤ちゃんに膣の菌を付ける対策をされる先生もおられるそうです。

腸内には1000種類以上、数百兆個の細菌がいて、その重量は1.5キロから2キロ。
殆どが嫌気性といって、空気に触れると死んでしまう細菌です。
その弱い菌ですが、腸以外の粘膜や腸の粘膜上皮に付くと炎症を起こします。
その小さい炎症が上記の感染予防につながります。
また細菌による小さい炎症でスイッチが入り、粘膜のターンオーバーが起こる仕組みもあるそうです。(腸の粘膜上皮は皮膚とは違い、数日で全部入れ替わるほど速いスピードでターンオーバーが起こっています。)

ただ、潰瘍を起こすような大きな炎症は、やはり害があります。

腸には”粘液層”という分厚い無菌の層があり、それが細菌と腸粘膜を隔てて、感染を防いでいます。

さらに大腸の粘膜で感染を防ぐ仕組みが昨年見つかったそうです。

大腸の粘膜上皮の最表層には”Lypd8”という蛋白質が多数あり、それが細菌の鞭毛に取り付いて動きを止めることで感染を防いでいる、ということでした。

(国立研究開発法人 科学技術振興機構
共同発表:腸内細菌の大腸組織侵入を防ぐメカニズムを解明」)

 

腸の働きが落ち、粘液層が薄くなると、まず鞭毛(鞭毛が尾ひれの様に働き、よく動ける)を持つ種類の細菌が腸粘膜上皮にたどり着いて炎症が起こります。
粘液層を泳いでくる細菌だけを止める仕組みや、感染すると害のある細菌を殺さずに共存する仕組みに、驚きました。

 

最近はアレルギーの予防になる可能性がある細菌も見つかっています。
ただ、既にその細菌を持っていれば、それほど変化がないのだとか。
必要なのは細菌の多様性なのだそうです。
1つの菌が突出して多いより、バランスよく多くの菌がいることが、健康に繋がります。
毎日同じものを食べるのではなく、色んなものを食べることで、多様性が生まれるそうです。

ストレスも腸内細菌を変化させます。
病気に意識を集中させないことも、ストレスを減らして細菌のバランスを保つことになるのでしょう。

 

色々な細菌を大事に生かしている腸の仕組み、悪玉も善玉も本当に悪だけで善だけなのか、簡単には分からないということでしょうか。

子供が熱を出したり湿疹が出たりすると親としては不安になりますが、細菌を取り込んで、軽く病みながら育つのが自然なのかもしれないと感じました。