子どもの視力回復

前回の「近視に対する鍼灸治療」に引き続き、今回は当院での施術報告です。今年に入って、小学生の視力回復が続きました。その中でもすぐに結果の出た一症例を紹介します(患者さんからも承諾頂いています)。

結果から言いますと、小学校での視力検査で両目ともC判定(少数視力 0.6~0.3)だったのが、約2週間後の眼科での検査は両目とも 1.5 にまで向上していました。

鍼灸施術前後の視力推移

 

今回は鍼灸の施術前後に視力測定を行ったことから、このようにグラフ推移で現わすこともできました。施術をすれば、その場で視力は上がりました。施術直後に大きく上がっているのは、一時的な視力向上の作用(縮瞳効果 1))もあるようですが、施術前の測定で両眼視力とも 1.5 が出ているときもあったことから、視覚機能への持続的な作用もあったと考えられます。

今回の鍼灸治療はシンプルで、眼の反応点に対するローラー鍼刺激です。鍼灸院での施術は週1回程度でしたが、自宅でのセルフケアは毎日されていました。毎日の積み重ねが、この結果につながったと思います。

ちなみに今回、私たちが感じる反応点をスコア化し、その反応点の変化と対数視力値の変化をグラフにしました。

 

反応点の程度と視力の変化量に、多少ばらつきもありますが、概ね相関が見られます。

今回の偽近視のような状態であれば、鍼灸も十分手立てになると思われます。

これが今後も続くのか、将来の近視予防につながるかは、これからの経過も見ていきたいと思います。

 

  1. 福野梓 , 鶴浩幸 , 片岡佳介 , 他 . 鍼刺激による屈折変化非依存性の視力向上効果 . 全日本鍼灸学会雑誌 . 2008. 58(2): 195 202

近視に対する鍼灸治療

私たちの所属する 一社)反応点治療研究会では、毎月勉強会を実施しています。所属する先生方が、日頃の臨床で経験した症例発表などを行ないます。 今月は私の担当で、今年に入って続いた、近視に対する鍼灸治療について発表しました。子供の視力低下でお困りの方も多いようで、こちらのブログでも紹介します。

 

最近は電車に乗っていると、多くの人たちがスマホを眺めています。そういったスマホやゲーム機器の普及等に伴い、近視を増強する環境要因は増加し、近視者の比率は非常に高くなっています。

日本ではこの30年で、小学生の裸眼視力が「1.0以下」は1.5倍以上、「0.3未満」は3倍以上に増加しています。昨年平成30年度では小学生の34%が、1.0未満と、過去最高の割合を示しています。 1)

文部科学省「学校保健統計調査」(平成30年度)より

 

また、世界的にも近視が社会問題化しています。特に東アジアでは先例の無いほど近視が急増しており、10代の近視割合は80%以上とも言われています。2)

東アジアにおける近視患者の急増

 

その原因としては、ライフスタイルの変化です。先ほど述べたように、多くの国々の子供たちにおいても、読書、最近ではパソコンやスマホの画面を見る時間の多さが影響しているようです。

屋外で過ごす時間の長い子の方が、近視の進行が遅いことは以前から報告されています。それは、遠くを見る機会が多かったり、最近では日光に含まれる一部の光(バイオレットライト)が近視進行を抑制するEGR1遺伝子に作用するというような研究もあります。3)

近視の進行は、遺伝的要因と環境的要因が言われていますが、急激な増加を考えると、環境的な要因も大きいようです。つまりは、先天的なものとしてあきらめるだけではなく、何か手立てをすれば進行を防ぐことも可能であると言えるでしょう。

 

当院でも、視力回復を目的に鍼灸治療を受けに来られる方もおられます。「眼鏡やコンタクトで矯正すれば済むのでは?」と思われるかもしれませんが、裸眼視力が必要な職業もありますし、子どもの視力回復には、親の思いもあります。

近視がさらに進行し強度になると、将来、黄斑変性症、緑内障、網膜剥離等が起こるリスク、失明のリスクも高くなると言われています。2)

幼い頃からのパソコンやスマホの利用で、これまで以上に眼に対する負荷がかかっており、将来に対する「不安」。 偽近視(仮性近視)のように一時的な状態、改善するのであれば、治療を施したいという「親心」も大きいでしょう。

 

そんな近視に対して、鍼灸治療の報告や研究はこれまでも多くありました。よく「鍼灸は何に効くか?」として示される、WHOの鍼の適応症49疾患の一つにも近視は含まれています。しかしこれも1979年に示されたもので、医療も日々進歩していますので、それをいつまでも信じているのも問題でしょう。

その後も、鍼灸治療による近視治療に対する研究もいくつか見つけられます。いずれも視力が回復する肯定的なものが多いですが、しかし現在の信頼性の高い報告としては、コクラン・ライブラリーによる「小児の近視に対する鍼療法」があり、「鍼治療で近視進行を遅らせる効果を示すエビデンスを提供することができなかった 」とあります。4) その中の課題として、鍼治療とプラセボと比較すること、他のタイプの鍼治療が調査されることなど、一般的に鍼灸の効果を示す上でネックとなる点が上げられています。これらがクリアされていけば、鍼灸も近視治療の一つとして認められるようになるかもしれません。

また、遺伝性も含んでいる近視に対しての治療効果を表すことが難しいのかもしれません。そもそも近視進行の明確な原因も明らかにされていません。ただその中でも、偽近視や仮性近視とも呼ばれる状態、一時的な悪化を食い止めるという意味では、鍼灸にも役に立てることはあるかと思います。

(次に続く…「子どもの視力回復」)

 

  1. 文部科学省「学校保健統計調査」(平成30年度)
  2. Elie Dolgin. The Myopia Boom. Nature. 2015.
  3. Torii H, Kurihara T, Seko Y, et al. Violet Light Exposure Can Be a Preventive Strategy Against Myopia Progression. EBioMedicine. 2017. Feb;15:210-219.
  4. Acupuncture for slowing the progression of myopia in children and adolescents. Cochrane Systematic Review – Intervention Version published: 07 September 2011.

娘の視力回復

こんにちは。

きんと冷えていますが気持ちの良いお天気の芦屋です。

 

昨年の眼科受診で娘の視力が左 0.6、右0.9 の近視だとわかりました。

パソコンの動画やテレビを近くで見る癖があったので、親として反省しました。

職場に連れて来ている日曜は、毎週、相変わらず狭い控室で近距離で動画を見ていますが、家ではテレビを遠くから見ること、遠くの景色を見ることをしつけてきました。

それから、お風呂で毎日のローラーケアを始めました。

 

湯船につかりながら、目の反応点に1分から2分コロコロします。

今は特に寒さでローラーが冷たくなりますし、裸なのでついでにお腹の反応点も施術できるので、お風呂でのケアが最適です。

 

先日眼科で検査したところ、両目とも 1.2 の視力が出ていました。

簡単なローラーケアですが、大幅な視力回復です。

子どもの視力が発達する過程でもあったかもしれませんが、その時期に負担を減らし、ケアできることも重要です。

 

子供のうちは循環もいいので大人より効果が出やすいのでしょう。

近視がわかったら、早いうちの対策が効果的だと実感を強めました。

近視は遺伝の影響もありますが、少しでもマイナスの要因を減らせるよう、これからもお風呂でのローラーケアを続けます。