認知症 Dementia


老後が心配…

家族に迷惑をかけたくない…

認知症薬が効かない…

鍼灸治療にできることがあります。 


要介護原因の第一位に

 2017年、厚生労働省より「平成28年国民生活基礎調査の概況」が発表されました。その中で「認知症」が、はじめて、要介護原因(介護が必要となった主たる原因)の第1位になりました。2位は「脳血管疾患」、3位は「高齢による衰弱」です。脳血管疾患が減ったということも考えられますが、認知症が増えていることも表わしているのでしょう。

 これからの超高齢社会において、認知症は、他人ごとでは無くなってきています。

 

認知症の対策と予防

 認知症の最大の原因は、「加齢」と言われます。ある程度の物忘れや脳の衰えは、仕方のないことでしょう。しかし、100歳を超えても、頭がしっかりした方もおられます。

 そして、欧米では、高齢化が進んでいても、認知症の発生率や罹患率が下がっている報告もあります※1,2。その理由としては、生活習慣病の改善、教育水準の上昇などが言われています。統計からは何が要因かは明確にされませんが、対策できるものがあるということでしょう。

 さらに、各製薬会社が認知症の治療薬の開発に躍起になっています。しかし、思うような臨床結果が得られず、新薬に至っていないのが現状です。

 その一つに、脳の典型的な変化は何十年も前から始まることが言われています。アルツハイマー病の原因としていられるアミロイドβなどの蓄積も40歳代頃から起こり始めると考えられています。つまり、「認知症予防」が一つのテーマとなっています。

 

認知症の原因

 認知症発症の一因として考えられているものに、高血圧と糖尿病があります。高血圧は、動脈硬化を引き起こします。脳内の血管の梗塞が、脳の働き、認知機能にも影響します。

 そして、現代病とも呼ばれる糖尿病です。糖尿病患者における脳血管性認知症発症の相対危険度は2倍、アルツハイマー病の危険度も1.9倍、中でもインスリン治療を受けている糖尿病患者ではその危険度が約4倍にまで上昇するという結果が出ています(Rotterdam Study)。日本の久山町調査でも、脳血管性、アルツハイマー病、どちらも2倍近くの危険度が報告されています。

 糖尿病と認知症の関係は完全には解明されていません。しかし、糖尿病による合併症の多くが血管障害であることから、高血圧と同様、脳内の循環障害も十分考えられます。

 また、インスリン分解酵素にアミロイドβの分解作用があることや、インスリン抵抗性により脳内での糖代謝に変化が起こることも言われています。インスリン抵抗性改善薬や、脳内へのインスリン移行が顕著な点鼻インスリン療法が、効果をあげているそうです。アルツハイマー病は、脳で起こる糖尿病なのではないかとも考えられており、「3型糖尿病」と呼んだり、「脳型糖尿病」として認識もされているそうです。※3

 

認知症患者に対する鍼灸治療

 中国の文献ですが、ご紹介します。

 「アルツハイマー病患者の鍼治療の有効性と安全性:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタ分析」※4

・6つの試験結果から、鍼治療が薬物よりも優れていること(MMSEスコアの改善)が示された。

・3つの試験結果から、鍼治療とドネペジルの併用が、ドネペジル単独より有効であること(MMSEスコアの改善)が示された。

 ということらしいです。

 全て中国国内の研究で、対象年齢や治療期間のバラつき、それぞれの治療や研究を検証したわけではないので、何とも言えませんが…

(治療点(ツボ)は、百会、足三里が最もよく使われ、他、血海や頭皮のツボなど。)

 

鍼灸刺激が与える効果

 鍼灸刺激が、脳内のアセチルコリンを増加させ、脳内血流を増加させる効果があるという研究があります。

 「大脳皮質におけるコリン作動性血管拡張系:鍼治療と老化の影響」※5。

 「頬および四肢(特に前肢・後肢)への鍼 or 灸刺激が、体性求心性神経(Ⅲ,Ⅳ群)を介し、脳内のマイネルト基底核に作用し、コリン作動性の血管拡張系を活性化する」とあります。ラットでの研究ではありますが、老齢ラットでもその効果は見られています。認知症を発症した高齢者にとっても、期待できる結果ではないでしょうか。

 他には、先ほどの原因とされる、高血圧、糖尿病への間接的な効果があります。継続して鍼灸治療をしていると、高血圧が低下していくことはよくあります(交感神経活動の抑制、末梢の血液循環の改善)。また、糖尿病に対しても、鍼灸治療にできることがあります。血管拡張作用による合併症対策、膵臓反応点にも直接アプローチしていきます。

 高血圧、糖尿病といった疾患への対策をする観点からも、鍼灸治療は、認知症に対して大いに役立ってくれそうです。

 

SORA鍼灸院での認知症治療

1.頭皮への刺激で、脳内の血流促進、循環改善作用

2.認知症の原因とされる疾患や病態に対する対策

3.認知症による周辺症状(BPSD)への対策

 2は、どちらかと言えば、予防になってきます。どんな病気でもそうですが、なってしまってから、進んでからよりは、そうならないように対策することが効果的です。

 ただ、1については、認知症と診断された方へも十分効果があると考えています。認知症の方の頭皮に共通した反応点が感じられます。そして実際に、治療を進めていく上で、やる気や意欲が増したり、頭がクリアになったと感じる例は少なくありません。

 3は、介護現場でもそうでしょう。記憶障害などの中核症状よりも、不安感や徘徊などの周辺症状で困ることが多いのです。そのご本人やご家族が困っていることは何か?に注目して治療を進めていきます。

 認知症は、まわりのご家族の苦労も多大なものです。介護に携わられる方もご一緒に治療を受けていただきたいと思います。

 

※1 A Comparison of the Prevalence of Dementia in the United States in 2000 and 2012
KM Langa, et al. JAMA Intern Med 2017;177: 51-8.

※2 A two-decade comparison of prevalence of dementia in individuals aged 65 years and older from three geographical areas of England: results of the Cognitive Function and Ageing Study I and II
FE Matthews,et al. Lancet 2013;382:1405-12.

※3 糖尿病合併症としてのアルツハイマー病

※4 The effectiveness and safety of acupuncture for patients with Alzheimer disease: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Zhou J, Peng W, Xu M, Li W, Liu Z. Medicine (Baltimore). 2015 Jun;94(22):e933.

※5 Cholinergic vasodilative system in the cerebral cortex: effects of acupuncture and aging.
Uchida S. J Acupunct Meridian Stud. 2014 Aug;7(4):173-9.